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臨床検査技師に必要な資格とは?取得するメリットを解説!

2022年03月01日

はじめに

病院で行われる様々な検査を担当する臨床検査技師は、現代医療に欠かせない存在です。将来性や安定性が高いことから、たくさんの方が資格取得を目指しています。そこで、今回は臨床検査技師の取得を目指す方に向け、資格概要や取得方法、合格率などを解説します。

どんな資格?臨床検査技師の資格概要

医療の根幹を担う国家資格「臨床検査技師」

「臨床検査技師」は患者の血液検査や尿検査、心電図の測定といった医師が診断を下すうえで基準となる各種の検査や測定を担当する職業です。医師が患者の病気を調べる際には問診だけではなく、客観的なデータが欠かせません。データが間違っていれば患者の状態を正しく把握することができず、誤った診断をしてしまう恐れがあります。そういう意味でも、臨床検査技師は現代医療において非常に重要な仕事といえるでしょう。

臨床検査技師の成り立ち

戦前まで患者の病名を診断するための検査は若手の医師が担当する仕事でした。しかし、医療が進歩するにつれて検査方法が高度化し、臨床検査に関する専門的な知識や技術を持った人材のニーズが高まりました。これを受け、1958年に「衛生検査技師法」が成立し、「衛生検査技師」という資格が生まれました。衛生検査技師は尿や血液など生体の一部を対象にした生体検査しか行えませんでしたが、1970年の法改正により、生理学的検査にも対応できる新たな資格として誕生したのが「臨床検査技師」です。

臨床検査技師の国家試験概要と取得難易度

臨床検査技師の国家試験概要

実施日

臨床検査技師の試験日はその年によって異なりますが、例年は2月の中旬から下旬に実施されています。

試験内容

医用工学概論、公衆衛生学、臨床検査医学総論、臨床検査総論、病理組織細胞学など計10科目を受験する必要があります。

形式

試験はマークシート方式で、5つの選択肢から1つまたは2つの選択肢を選んで記入します。

開催地

試験の開催地は北海道、宮城県、東京都、愛知県、大阪府、広島県、香川県、福岡県、沖縄県となっています。

料金

試験にかかる受験手数料は11,300円です。相当額の収入印紙を受験願書に貼って納付します。

注意事項

視覚、聴覚、音声機能、言語機能に障害を持つ方は、事前に臨床検査技師国家試験運営本部事務所に申請書を提出しておくと、受験の際に障害に応じた配慮をしてもらえます。

臨床検査技師国家資格の取得難易度~合格率は80%以上?!~

臨床検査技師国家試験の合格基準は全200問(1問1点)中、120点以上です。2021年に行われた第67回臨床検査技師国家試験では、受験者数5,115人中、合格者数は4,101人で、合格率は80.2%と、前年度比で8.7%増加しました。
全体の合格率で見ると8割以上と高めですが、既卒に限定すると合格率は41.7%まで下がってしまいます。しかし、これでも前年度比で19.9%も増加しており、過去5年の既卒平均合格率でみると28.1%とかなり低い結果になっています。
一方、新卒に限定した場合は91.6%まで合格率が跳ね上がります。過去5年の新卒平均合格率は88.3%です。不合格になった理由は人それぞれですが、一度目の試験で不合格になり学校を卒業してしまうと、どうしても試験勉強に対するモチベーションが低下しやすくなってしまいます。養成課程でしっかりと勉強して新卒での受験を目指すのがおすすめです。

なぜ取得するの?臨床検査技師の資格を取得するメリット

メリット①国家資格であること

真っ先に挙げられるのは、臨床検査技師が国家資格であることです。受験資格を得るためには養成課程のある大学や専門学校などで3年以上にわたって専門的なスキルや知識を身につけなくてはなりません。資格を取得できれば国から臨床検査技師に必要な知識を有する者として認められるため、一定程度の社会的信用を得ることができます。

メリット②活躍の場が広い

臨床検査技師の就職先はさまざまで、病院やクリニックはもちろんのこと、保健所、臨床検査センター、健診センター、治験施設支援機関(SMO)、製薬会社、医療機器メーカー、食品会社、医薬品開発業務受託機関(CRO)、研究機関などがあります。病院における臨床検査技師の求人は欠員補充が中心であるため看護師などと比べると新卒採用の求人倍率は高くなる傾向にありますが、就職先を病院に限定しなければ多くの活躍の場があります。また、医療専門職は就職率や転職率に景気の影響を受けにくいので、一生ものの資格といえます。

メリット③キャリアアップがしやすい

臨床検査技師には多種多様な認定資格があります。認定資格を取得することはキャリアアップにつながり、資格手当が付く場合があるほか、昇進や転職に有利になります。臨床検査技師を対象とする認定資格としては「緊急臨床検査士」や「一級臨床検査士」、「二級臨床検査士」、「超音波検査士」、「消化器内視鏡技師」などがあります。将来自分が進みたい分野に役立ちそうな資格は積極的に取得するとよいでしょう。

メリット④年収が高い

厚生労働省が発表している「令和2年賃金構造基本統計調査」によると、臨床検査技師の平均月収は約33万円、年間賞与その他特別給与額の平均が約100万円、平均年収は約493万円となっています。国税庁の調査によれば日本全体の平均年収が433万円ですので、比較的高収入であることが分かります。

どうやって取得するの?臨床検査技師の資格を取得する方法

臨床検査技師の資格を取得するまでの流れ

臨床検査技師の資格を取得するためには、高校卒業後、臨床検査技師養成課程のある大学・短期大学、専門学校で3年以上にわたり臨床病態学や形態検査学、臨地実習などを履修して卒業する必要があります。
受験資格を得た人は毎年2月中旬〜下旬に行われる資格試験に挑むことができます。合否は3月下旬ごろに厚生労働省の資格・試験情報のページで発表されます。

合格証書が届いたら居住地の保健所などで免許証交付の申請を行います。申請時には申請書のほかに医師の診断書(発行から1か月以内)、住民票または戸籍謄本(発行から6ヶ月以内)、切手を貼った登録証明書用のはがき、収入印紙が必要になるので用意しておきましょう。
申請内容に不備がなければ保健所から「免許証交付通知はがき」が届きますので、はがきを持って保健所窓口へ向かえば「臨床検査技師免許証」が受け取れます。なお、受付から免許証の交付までには一般的に約2~3ヶ月かかります。

臨床検査技師の資格を取得するための一般的なルート

臨床検査技師の資格を取得するための一般的なルートは専門学校と大学です。厚生労働省のデータによると、臨床検査技師のうち専門学校卒の人は73.2%、大学卒の人が63.4%です(短大卒29.6%、修士課程卒7.0%)。

まとめ

今回は臨床検査技師の国家資格について解説しました。臨床検査技師は現代の医療の根幹となっている職業で、就職・転職先が多岐にわたる上、認定試験が多いことからキャリアアップが目指しやすい職業です。また、医療従事者として人の役に立つことに対する大きなやりがいも感じられます。取得難易度は低いとはいえず、特に既卒の方には難関試験となっていますが、一生ものの資格となるのでぜひ取得を目指してください。

当記事に記載の数値や事実等に関しては、下記サイトの情報を基に作成しております

大阪急性期・総合医療センター医学雑誌「臨床検査の歩みと今後」
https://www.gh.opho.jp/pdf/medicaljournal/039/medicaljournal_039_001.pdf
厚生労働省「臨床検査技師国家試験の施行」
https://www.mhlw.go.jp/kouseiroudoushou/shikaku_shiken/rinshoukensagishi/
厚生労働省「第67回臨床検査技師国家試験問題」
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/dl/tp210416-07a_01.pdf
厚生労働省「第63回臨床検査技師国家試験問題」
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/dl/tp170425-07a_01.pdf
厚生労働省「臨床検査技師国家試験の施行」
https://www.mhlw.go.jp/kouseiroudoushou/shikaku_shiken/rinshoukensagishi/
厚生労働省「臨床検査技師国家試験の合格発表について」
https://www.mhlw.go.jp/kouseiroudoushou/shikaku_shiken/rinshoukensagishi/
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