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作業療法士に必要な資格とは?取得するメリットを解説!

2022年03月01日

はじめに

国家資格である作業療法士になるためには、資格の取得が必須です。この記事では、作業療法士の資格概要や難易度、取得までの流れまでを詳しく説明します。資格を取得するメリットなども紹介しているので、記事を読んで進路の参考にしてみてください。

どんな資格?作業療法士の資格概要

近年活躍の場が広がっている国家資格「作業療法士」

作業療法士は、名前の通り「作業」に焦点を当てた施術をおこなうことで、患者さんの健康な生活をサポートする職業です。その業務内容は肉体的な治療だけに留まらず、気持ちが落ち込んでいる方の精神的なサポートをおこなうこともあります。発達障害を抱える子供から、認知機能の低下した高齢者まで幅広い患者さんを相手にするので、様々な分野から需要のある職業として注目が高まっています。

作業療法士の成り立ち

作業療法士が生まれたきっかけは、厚生労働省が出している年次報告『厚生白書』にて、1960年に医学的リハビリテーションの必要性に触れたのが始まりと言われています。ケガや病気を治すだけではなく、自立した生活を取り戻すリハビリの必要性が高まったことで作業療法士は国家資格として1965年に誕生し、法律に定義された存在となりました。作業療法士は、健康上の問題がなく日常生活を送れる「健康寿命」が重視されている昨今において、ますます需要の増加が期待される職業です。

作業療法士の国家試験概要と取得難易度

作業療法士の国家試験概要

実施日

作業療法士の国家試験は年に一度、毎年2月に実施されています。

試験内容

筆記試験において、一般問題および実地問題に分かれた出題がされます。また、重度の視力障害者に対しては口述・実技試験で実地問題が出題されます。

形式

マークシート形式での解答です。5肢択一が多いですが、5肢択二の問題もあります。

開催地

開催地は北海道、宮城県、東京都、愛知県、大阪府、香川県、福岡県及び沖縄県です(口述・実技試験は東京都のみ)。

料金

受験手数料は10,100円です(収入印紙による納付)。

注意事項

以下のような受験資格を満たす必要があるため、大学や専門学校等へ通うことが一般的です。
「文部科学大臣が指定した学校又は都道府県知事が指定した作業療法士養成施設において、3年以上作業療法士として必要な知識及び技能を修得したもの」

作業療法士国家資格の取得難易度~合格率は80%以上?!

作業療法士の試験に合格するためには、「一般問題・実地問題を合わせた総得点が60%以上」「実地問題の得点が35%以上」という2つの基準を満たす必要があります。さほど厳しい割合ではありませんが、一般・実地どちらの点数もバランス良く取得することが求められるため、苦手分野を作らずにまんべんなく学習することが必須です。
気になる合格率ですが、2021年度実施の第56回試験における合格率は81.3%(4,510/5,549)でした。
学校を卒業したばかりの新卒者に限れば88.8%(4,345/4,895)なので、決して取得が難しい試験ではありません。
ちなみに、過去5回の合格率を振り返ると平均8割程度ですが、低い時で7割程度の年もありバラつきがやや大きいため、侮って油断することは禁物です。合格率が低かった年の過去問を解くなどして、対策は万全にしておく必要があるでしょう。

なぜ取得するの?作業療法士の資格を取得するメリット

メリット①国家資格という信頼性

一番大きいメリットは、作業療法士が国家資格であるという点です。国から認められているという信頼性があるため、社会的な信頼を得やすいという利点があります。
また、指定の大学・専門学校などで一定期間学習をしないとなれない職業なので、資格取得時点である程度の専門性も担保されているという安心感も与えられます。将来他の職業を目指すにしても、取得した資格は1つの大きな軸になってくれるでしょう。

メリット②幅広い就職先が選択できる

作業療法士の就職先は病院だけではありません。一般病院のほかにも、リハビリ専門病院、精神科病院、老人ホーム、障害者福祉施設、児童養護施設など幅広い機関・施設へ就職が可能です。肉体的なケア or 精神的なケアのどちらをメインにするのか、子供とのコミュニケーション or 高齢者とのコミュニケーションのどちらをメインにするのかなど、自分のなりたい作業療法士のイメージによって職場を選択するという考え方もあります。

メリット③キャリアアップも目指せる

作業療法士には就職後に目指せる資格も存在するため、さらなるキャリアアップを目指すこともできます。特に専門性が高い資格としては「認定作業療法士」があり、これは5年以上の実務経験と研修を受けて、試験に合格した人だけが取得可能な資格です。もちろん資格が全てではありませんが、客観的に評価しやすい資格が存在することは、キャリアアップへのモチベーションを高める大事な要素となるでしょう。

メリット④私生活でもスキルを活かせる

最後は少し違った視点からのアプローチですが、作業療法士は私生活でスキルや経験を活かせる機会も多いです。例えば、ご両親が病気やケガに罹ったときも日常生活に戻るためのサポートをすることが出来ますし、高齢になってから介護をする際にも経験が活きてくる部分はあるでしょう。

どうやって取得するの?作業療法士の資格を取得する方法

作業療法士の資格を取得するまでの流れ

作業療法士になるまでの流れをおさらいすると、まずは指定の養成校に3年以上通い、受験資格を得るのに必要な単位を修得しつつ知識・技能を習得する必要があります。このとき修得する単位は複数の分野に分かれており、作業療法士の基本的な資質・能力を深める「基礎分野」、実践に繋がる専門知識の基礎を学ぶ「専門基礎分野」、グループワーク・実習なども入れながら実践的に学ぶ「専門分野」の3つです。ちなみに、すでに大学・専門学校を卒業している方に対して、編入制度を設けている学校もあります。
また、外国の養成校を卒業している方、外国で作業療法士に相当する免許を受けている方は、別途審査を受ければ受験資格を得られる場合があります。

受験資格を得た後は、毎年2月に実施される作業療法士国家試験を受けて、約1ヶ月後の合格発表で合格者に入れば、晴れて作業療法士の資格を得られます。残念ながら、不合格の場合は1年自分で勉強するか学校にもう1年通うこととなります。

作業療法士の資格を取得するための一般的なルート

作業療法士になる際の一般的なルートは専門学校卒、次いでほぼ同程度の割合で大卒となっています。厚生労働省の職業情報提供サイトによる学歴調査でもそのようなデータを見ることが可能です。こちらのデータによれば、残りのルートは修士課程卒(14.1%)、短大卒(10.3%)などとなっており、専門学校卒と大卒に比べると少なくなっています。作業療法士試験の受験資格を得るためには指定された専門学校や大学へ通うことが一般的なようです。

まとめ

改めてとなりますが、作業療法士になるためには資格の取得が必須です。作業療法士は国家資格としての信頼性が高いですし、近年さらに需要が増加している職業ですので、資格を得て作業療法士を目指す価値は高いでしょう。ルートはいくつかありますが、まずは受験資格を得るために大学・専門学校などへ通う必要があります。作業療法士の仕事に興味を持った方は、教育を受けられる施設を探すところから始めてみてください。資格の合格率がやや低い年もありますが、目標を持って3年以上学習をすれば、きっと良い結果がつかめるはずです。

当記事に記載の数値や事実等に関しては、下記サイトの情報を基に作成しております

厚生白書(昭和35年度版)第三章第三節医療保険制度と公衆衛生活動(特に疾病予防対策)より
https://www.mhlw.go.jp/toukei_hakusho/hakusho/kousei/1960/dl/02.pdf
厚生労働省作業療法士国家試験の施行
https://www.mhlw.go.jp/kouseiroudoushou/shikaku_shiken/sagyouryouhoushi/
厚生労働省第56回理学療法士国家試験及び第56回作業療法士国家試験の合格発表について
https://www.mhlw.go.jp/general/sikaku/successlist/2021/siken08_09/about.html
職業情報提供サイト作業療法士
https://shigoto.mhlw.go.jp/User/Occupation/Detail/168
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