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作業療法士のキャリアアップの方法は?仕事の現状と将来性を解説!

2022年03月01日

はじめに

毎年5,000人前後の資格取得者が生まれている作業療法士。その需要も年々広がりを見せています。この記事では作業療法士の現状や業界の課題をお伝えした上で、その将来性やキャリアアップの仕方などについてもお届けします。

作業療法士の業界の現状について

作業療法士の業界の現状について

作業療法士になるためには、指定の教育機関で単位を取得した後、国家試験に合格して資格を得る必要があります。2019年度の「日本作業療法士協会会員統計資料」によれば、作業療法士の資格を持つのは94,255 人。そのうち組織に属している人数は62,294 人で、資格保有者の66.1%が資格を活かして働いている計算です。年に1度おこなわれる資格試験では毎年約5,000人の作業療法士が新たに誕生しており、今後迎える高齢社会において、様々な分野から高い需要が期待されています。

作業療法士の業界が直面している課題について~認知度不足~

業界全体における大きな課題として、作業療法士という職業に対する知名度不足・認知度不足が挙げられます。国家資格としての作業療法士が誕生したのは1965年のことですが、その作業療法士を育てる養成校が普及し始めたのは2000年~2010年頃と比較的最近です。一般の方々、特に小・中学生への知名度はまだまだ低く、子どもが目指したいと思える職業にはなっていないというのが実情でしょう。
さらに、認知度の低さは作業療法士が実際に働いている職場でも見られます。同じくリハビリをメインにする「理学療法士」との作業分担が完全になされているとは言いづらいですし、作業療法士の専門分野である生活動作に関するリハビリを任せてもらえず不満を抱えている方も多いようです。施術を受ける社会一般の認知度もまだまだ低いため、依頼をする際のミスマッチも起こりやすい状況が生まれています。
今後、作業療法士が働きやすい環境を作っていくためには、世間や職場における認知度向上を狙った取り組みが必要不可欠となるでしょう。

作業療法士の将来性について

社会変化がもたらす作業療法士需要の増加

高齢化の加速に伴って、リハビリ職である作業療法士の需要は今後も伸びていくと考えられます。厚生労働省の「一般職業紹介状況」において作業療法士は「医療技術者」に分類されますが、その有効求人倍率は2.92倍となっており、1人に対して約3つの求人があることを示します。また、作業療法士からの転職先としてポピュラーな介護サービス職も有効求人倍率3.63倍と非常に高く、将来を考えた際の間口の広さが期待できます。

作業療法士の職場環境の変化について

ここで、作業療法士の待遇に関する政策を1つ紹介します。
昨今、医療現場における負荷が増大していることから、看護職員の収入を引き上げる処遇改善事業が推し進められていますが、この事業概要の中で作業療法士について触れられています。ここには「看護補助者、理学療法士・作業療法士等のコメディカルの処遇改善にこの処遇改善の収入を充てることができるよう柔軟な運用を認める。」という一文があり、作業療法士が名指しで挙げられました。この施策による効果はもちろんですが、今後の作業療法士に対する継続的な待遇改善にも期待がかかります。

女性の作業療法士が活躍する場が増える?!

作業療法士の男女比を見ると、女性が6割を超えているという調査結果が見られます。作業療法士は、女性にとっても活躍の幅が広い職業と言えるでしょう。女性が活躍しやすい背景としては、職場に合わせて働き方を変えやすいことが挙げられます。例えば、患者さんの自宅で仕事をおこなう訪問リハビリは、短時間の非常勤(パート)を募集している求人も多く、出産明けの職場復帰先としても重宝されています。女性が多いことから復職制度が充実している職場も珍しくなくため、生涯を通して働きやすい職業と言えるでしょう。

作業療法士のキャリアのスタート~就職先~

一般病院

作業療法士の就職先として最もポピュラーなのが一般病院です。病気やケガをした患者さんを対象に、日常生活へ戻るための動作訓練をおこないます。職場へ復帰するための積極的なリハビリ、慢性的に病気を抱えている方への自立支援など症状の程度にも幅があるので、施術を通して様々な経験を積むことが可能です。

精神科病院

一般病院が肉体的なケアをメインにするのに対して、精神科病院は精神的なリハビリをメインとします。対象になるのは「うつ病」「統合失調症」「認知症」などの症状を抱えている患者さんです。作業を通してコミュニケーションを取ることで患者さんのケアをおこない、日常生活や職場などへの復帰を目指します。

老人ホーム

老人ホームなどの介護施設も、作業療法士の就職先として一般的です。老人ホームでは、利用者の豊かな生活を支援することがメインであるため、ゲームやレクリエーションといった遊びが積極的に取り入れられます。病院とは目的がやや異なりますが、こちらの施設でも作業療法士の存在は必要不可欠です。

児童福祉施設

幅広い年齢層の患者さんを相手にするのも、作業療法士の特徴です。児童福祉施設では、体に不自由があったり発達障害を持っていたりする子どもを相手に自立支援をおこないます。子どもに対して運動や学習による働きかけをおこなうのはもちろんですが、保護者の持つ不安を解消することも重要な仕事の1つです。

作業療法士のキャリアアップの仕方

作業療法士としての技術を高める

作業療法士としてのスキルを高めるには、実践による経験が第一です。患者さんと一対一で向き合い施術・対話をすることで初めて得られる経験もあるため、多くの患者さんと真剣に接することがキャリアアップへの近道でしょう。また、それを補助する知識を得るために、勉強会などで最新の知識を得ることも重要です。

他の資格を取得する

この職業に就くためには作業療法士の国家資格が必須ですが、それ以外にも「認定作業療法士」などの資格が用意されています。認定作業療法士は5年以上の実務経験と研修を受けて、試験に合格した人だけが取得可能な資格なので、キャリアアップや転職などの際に役立つでしょう。

独立

作業療法士は、医師による指示の下で作業療法をおこなうことが定められているため、作業療法士が1人で開業して施術をおこなうことはできません。独立して開業をしたい場合は、柔道整復師やあん摩マッサージ指圧師など別の資格を取得しつつ、作業療法士の経験も活かして差別化を図るといった戦略が求められます。

転職

作業療法士は、転職の受け入れ先が広い職業と言えるでしょう。上で紹介したように様々な施設が就職先として考えられますし、経験を活かして介護分野への転職もしやすいです。肉体的なケアから精神的なケアまでできる守備範囲の広さも、アピールポイントの1つとなるでしょう。

作業療法士の海外進出

日本の作業療法士が海外で働く際の待遇は国によって違いますが、日本の免許がそのまま利用可能な国もあります。
また、JICA(国際協力機構)などの組織では、発展途上国を中心とする国へ作業療法士を派遣するといった活動もおこなっているため、海外にも活躍の場は数多く用意されています。

まとめ

作業療法士はまだまだ認知度の低い職業ですが、今後需要が伸び続けていく可能性の高い職業でもあります。今後多くの人が目指す職業になっていく一方で、競争が激しくなることも見込まれます。まずは作業療法士の仕事を正しく知ることから始めていきましょう。肉体的なケアが専門、精神的なケアが専門、子どもの相手が専門、高齢者の相手が専門など、作業療法士にはたくさんの形があります。目標のイメージを明確に持ち、自分なりの作業療法士を目指してみてください。

当記事に記載の数値や事実等に関しては、下記サイトの情報を基に作成しております

2019年度?日本作業療法士協会会員統計資料
https://www.jaot.or.jp/files/page/jimukyoku/kaiintoukei2019.pdf
厚生労働省理学療法士・作業療法士の需給推計を踏まえた今後の方向性について
https://www.mhlw.go.jp/content/10801000/000499148.pdf
平成28年度日本作業療法士協会作業療法推進活動パイロット事業報告
https://www.jaot.or.jp/files/page/wp-content/uploads/2017/08/h28pilot_ooita.pdf
厚生労働省『一般職業紹介状況(令和3年8月分)』
https://www.mhlw.go.jp/content/11602000/000835254.pdf
厚生労働省看護職員等処遇改善事業
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000095525_00005.html

実際に働いている人の口コミをチェックしよう!

作業療法士として実際に働く方にアンケートをとり、 「キャリア・将来性」に対する満足度を5段階で評価してもらいました。
実際に働いている人の口コミを参考に、どんな仕事なのかイメージをつけましょう!
実際に働いている人の
作業療法士の「キャリア・将来性」の満足度
★★★☆☆ 3.2 (108件)

作業療法士の 「キャリア・将来性」の 口コミ一覧

全108件

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埼玉県の30代前半女性

正社員 / 350万円以上~400万円未満 / 大学卒

就職先:訪問看護ステーション

キャリア・将来性の満足度 ★★★★☆ 4.0
  • 仕事の将来性

    今後もリハビリも必要とする人はいると思うので、需要はあるのではないかと思う。分野が広いので勉強は必要。

  • 女性の働きやすさ

    正社員の時間短縮勤務というものが会社の規定になかったり、パートでも時間の決まりがあるため子育て世代には働きづらい。

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福井県の30代前半女性

パートタイム/アルバイト / 100万円未満 / 短期大学卒

就職先:介護・福祉施設

キャリア・将来性の満足度 ★★★☆☆ 3.0
  • 仕事の将来性

    高齢者が増えているので需要はあると思う。が、有資格者も多いため働く場所は限られてきている気がする。

  • 女性の働きやすさ

    産休育休明けだとブランクがあるので働きづらさはある。 時短勤務を受け入れてもらえず。

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佐賀県の40代女性

正社員 / 500万円以上~550万円未満 / 大学卒

就職先:介護・福祉施設

キャリア・将来性の満足度 ★☆☆☆☆ 1.0
  • 仕事の将来性

    患者さんはもちろん一緒に働く同僚も含め周囲に気配りする能力、素早く的確に判断する/上司に相談する能力は最低でも必要。将来これらができる人材が多くいるとは思えないから。

  • 女性の働きやすさ

    産休、育休、子供の体調不良で急な休みが取りづらい。万年人手不足で簡単に上司が許可を出さない。

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長崎県の40代女性

正社員 / 300万円以上~350万円未満 / 専門学校卒

就職先:介護・福祉施設

キャリア・将来性の満足度 ★★★☆☆ 3.0
  • 仕事の将来性

    作業療法士を育成する学校が全国に増え、以前は転職もしやすかったが、最近は転職する際も競争が激しくなっていると思う。 そのうち、就職先も少なくなり待遇も悪化していくのではないかと思う。

  • 女性の働きやすさ

    子どものいる女性は何かと優遇されるが、その分のしわ寄せが独身女性にくる。 結婚しない女性には働きにくい。

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群馬県の20代後半男性

正社員 / 300万円以上~350万円未満 / 大学卒

就職先:病院

キャリア・将来性の満足度 ★★★☆☆ 3.0
  • 仕事の将来性

    作業療法士は高齢化社会において、その人らしく生活できるようここに応じてリハビリや生活方法の提案ができるので、在宅では将来性があると思います。

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