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鍼灸師に必要な資格とは?取得するメリットを解説!

2022年03月01日

はじめに

「鍼灸師」という仕事をご存じでしょうか?鍼灸師は、鍼や灸を使って治療を行いますが、その治療は外科や内科といったよく目にする医療に見慣れた人にとっては目新しく映るかもしれません。鍼灸師の仕事に就くには、はり師、きゅう師という資格を持っていることが必須の条件となります。ここでは、それら国家資格の概要や受験の概要、難易度からメリットまでご紹介します。

どんな資格?鍼灸師の資格概要

鍼灸師として治療にあたれる国家資格「鍼灸師」

鍼灸師とは、鍼(はり)と灸(きゅう)を使用して治療を行う医療従事者です。東洋医療の専門家、とも言えるでしょう。鍼灸師は、筋肉やつぼに対して鍼と灸で刺激を与えます。それによって、病気の改善や予防をはかったり、自然回復力、免疫力を高めたりといった治療となります。「鍼灸師」と言われてはいますが、実際には「鍼灸師」という国家資格は存在せず、「はり師」と「きゅう師」という2つの国家資格を指して「鍼灸師」と呼んでいます。

鍼灸師の成り立ち

鍼灸は今から2000年以上前に中国で生まれた医療技術です。日本にも、奈良時代頃には伝わっており、鍼灸を扱う官職まで設けられたとされています。『徒然草』や『奥の細道』といった有名な文献でも鍼や灸が言及されています。明治時代に西洋医学が日本に導入されると、鍼や灸をはじめとする東洋医学はあまり注目されなくなってしまいます。鍼灸を扱う資格は残っていましたが、主に視覚障がい者を対象とした資格だったようです。しかし、西洋医学が盛んになるなかでも、鍼灸は民間で一定の支持を保っており、昭和22年、現在の「あん摩マッサージ指圧師、はり師きゅう師等に関する法律」の原型となる法律が制定されたことによって、鍼灸師は国家資格として認められるようになりました。

鍼灸師の国家試験概要と取得難易度

鍼灸師の国家試験概要

実施日

はり師、きゅう師の国家試験は年1回、同日に実施されます。例年2月下旬に実施され、令和3年度は、令和4年2月27日に実施されます。

試験内容

両試験の共通科目として、「医療概論」「衛生学・公衆衛生学」「病理学概論」「解剖学」「関係法規」「生理学」「リハビリテーション医学」「臨床医学総論」「臨床医学各論」「東洋医学概論」「経絡経穴概論」「東洋医学臨床論」が実施され、はり師試験には「はり理論」きゅう師試験には「きゅう理論」が実施されます。同時に受験する場合には、共通している科目は一方の試験が免除されます。

形式

両試験ともに筆記試験のみで、四択のマークシート方式です。視覚障がいのある人には、点字や読み上げ併用といった別方式の試験も認められています。

開催地

晴眼者と視覚障がい者とで開催地が異なります。晴眼者の開催地は、北海道、宮城県、東京都、新潟県、愛知県、大阪府、広島県、香川県、福岡県、鹿児島県、沖縄県。視覚障がい者の開催地は各道府県となっています。

料金

1試験14,400円です。2つの試験を同時に受験する場合は、28,800円となります。2試験を同時に受験することによる割引等はないため、注意しましょう。

鍼灸師の国家資格の取得難易度~合格率は70%以上⁉~

鍼灸師の国家資格である、はり師ときゅう師の試験の合格率は、例年およそ70%以上となっています。令和3年3月に実施された、はり師試験では、受験者数3853名、合格者数2698名となっており、合格率は70.0%です。また、同年のきゅう師試験では、受験者数3797名、合格者数2740名となっており、合格率は72.2%です。合格基準は、はり師きゅう師ともに、1問1点の合計170点満点のうち、102点以上とされています。例年の合格率もおよそ70%を超えている年が多いようですが、2018年のはり師試験の合格率は57.7%と、極端に低い年もあるようです。10を超える試験科目の多さ等を考えると、決して簡単な試験とは言えません。その他の国家資格試験と同様に、しっかりとした準備が必要になる試験と言えるでしょう。

なぜ取得するの?鍼灸師の資格を取得するメリット

メリット①国家資格という信頼感

鍼灸師の資格であるはり師ときゅう師という資格は、国家資格として区分されています。その他の医療系資格と同じく、この国家資格は簡単に取得できるものでは決してありません。資格取得後も、継続的な研鑽が求められます。公的資格や民間資格と比べレベルの高い資格である国家資格を所持しているということは、社会的な信頼を獲得することにもつながるでしょう。

メリット②独立開業ができる

医療系の国家資格はいくつかありますが、その中でも鍼灸師は、独立開業することができる国家資格です。医師や歯科医師、助産師、薬剤師等と同じく、独立開業ができるというのは、キャリアにとって大きなメリットと言えます。同じく独立開業が可能な、医師等の国家資格よりも、はり師、きゅう師は取得にかかる時間が短いため、比較的ハードルは低いと言えるでしょう。独立開業には資格以外にも様々な条件があるため、資格さえ取ればすぐに、という訳にはいきませんが、収入の増加など、大きいメリットが見込めます。

メリット③広い分野で治療ができる

鍼灸師には、施術の対象となる患者さんや領域が広範囲におよぶ、というメリットがあります。薬を使わない鍼灸は、ドーピング検査等を考慮した治療が必要なスポーツ選手によいと注目されています。近年では美容鍼灸も注目されています。そのため鍼灸師は、エステ業界でも重宝されはじめています。身体に負担が少ないことから、子どもからお年寄りまで施術が可能であるというのも、鍼灸師資格を取得するメリットと言えるでしょう。

どうやって取得するの?鍼灸師の資格を取得する方法

鍼灸師の資格を取得するまでの流れ

はり師、きゅう師の国家試験の受験資格を取得するには、文部科学大臣または厚生労働大臣認定した大学、あるいは専門学校に3年以上通う必要があります。視覚障がいのある場合には、5年以上通う必要があるとされています。既にお伝えしたように、はり師、きゅう師の国家資格試験では、数多くの受験科目が設定されています。解剖学や生理学、病理学といった医療全般に関わる科目のほか、東洋医学や経路経穴といった、はり師、きゅう師に特有の科目も課されています。大学、専門学校ではそれらの科目を中心に学習しますが、臨床実習も受講することとなります。既にご紹介したように、鍼灸は近年、美容やスポーツの領域でも注目されています。そういった事情から、それらを意識したコースを用意している学校もあるようです。自分の目指す方向性に沿った学校を選ぶとよいでしょう。

また、試験は例年2月下旬に実施されており、合格発表は3月下旬頃になります。3月下旬の合格発表で合格していれば晴れて、資格を取得できます。残念ながら、不合格の場合は1年自分で勉強するか学校にもう1年通うこととなります。

鍼灸師の資格を取得するための一般的なルート

鍼灸師になるための最も一般的なルートは、高校卒業後専門学校に進学するルートです。実際、厚生労働省のデータによれば、鍼灸師として活躍している人の学歴は、73.1%が専門学校となっています。また、46.3%の人の学歴が大卒となっています。はり師、きゅう師の国家資格試験を取得するには、専門学校等での3年以上の課程が必須となるため、このようなデータとなっているようです。

まとめ

鍼灸師の国家資格についてご紹介してきました。鍼灸師の国家資格は実際のところ、はり師ときゅう師という2つの国家資格を指しています。両資格を共に所持している人も多く、同時に受験することもできる資格です。合格率は70%程度ですが、科目数の多さ等を鑑みると、決して取得が容易な資格ではありません。鍼灸師として働くには必須の資格となっているため、鍼灸師を目指す人は必ず取得することになります。独立開業ができるなど、メリットの大きいこの資格の取得には、専門学校等で所定の課程を修了する必要があるため、専門学校か大学への進学をメインに検討することをおすすめします。

当記事に記載の数値や事実等に関しては、下記サイトの情報を基に作成しております

日本医学柔整鍼灸専門学校
https://www.nihonisen.ac.jp/shinkyu/capacity/
東京有明医療大学
https://www.tau.ac.jp/future/acupuncture/history.html
厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/kouseiroudoushou/shikaku_shiken/harishi/
厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/general/sikaku/successlist/2021/siken13_14_15/about.html
日本医学柔整鍼灸専門学校
https://www.nihonisen.ac.jp/shinkyu/capacity/merit.php
日本医学柔整鍼灸専門学校
https://www.nihonisen.ac.jp/shinkyu/capacity/merit.php
日本医学柔整鍼灸専門学校
https://www.nihonisen.ac.jp/shinkyu/capacity/merit.php
厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/kouseiroudoushou/shikaku_shiken/harishi/
はり師・きゅう師-職業詳細
https://shigoto.mhlw.go.jp/User/Occupation/Detail/175
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