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歯科技工士に必要な資格とは?取得するメリットを解説!

2022年03月01日

はじめに

少子高齢化社会の中でますますニーズが高まる歯科技工士。国家資格取得が必須の歯科技工士は、歯科医療でも重要なポジションです。歯科技工士の資格概要や取得方法、取得難易度から取得するメリットまで分かりやすく解説します。

どんな資格?歯科技工士の資格概要

歯科治療専門の国家資格「歯科技工士」

歯科技工士とは、歯の治療に必要な詰め物や矯正装置を作るために必要な国家資格です。
歯科医師の指示のもと、歯の被せ物や詰め物、入歯や歯列矯正装置などの作成や加工、修理を行います。歯科技工士が取り扱うものはどれも患者さんの口の中に入るものであることから、高度な技術はもちろん、一人ひとり異なる歯の特徴を把握し、その人に合わせた精密な加工を施す必要がある繊細な職業です。直接患者さんと接することはありませんが、歯科医療の中で重要な役割を担っている専門職のため、国家資格となっています。

歯科技工士の成り立ち

江戸時代、大名や貴族たちの要望を受けた仏像彫刻家がツゲの木を材料として木製の入れ歯を彫ったのが歯科技工士の始まりだといわれています。その後、「入れ歯細工職」と呼ばれる職業が誕生しましたが、このとき作られた入歯の完成度・精密さは現代のものと比べても引けを取らないことから、歯科技工の基本的な技術は江戸時代でほぼ確立されたといえます。
昭和30年には歯科技工士法が制定され、歯科技工士の資格が定められました。昭和57年には当時の厚生労働省が認定する国家資格となり、その後も度々一部改正をくり返して現在の歯科技工士法の形となりました。

歯科技工士の国家試験概要と取得難易度

歯科技工士の国家試験概要

実施日

歯科技工士の国家試験は年に1回、毎年2月に行われ、一か月後の3月に合否が分かります。

試験内容

顎口腔機能学、歯の解剖学など全7科目が出題される学説試験と、実際の製作・修理に必要な技能があるかを確認する歯科技工実技の実地試験があります。

形式

学説試験はペーパーテストのマークシート形式で、実地試験は実技形式です。

開催地

北海道、宮城県、東京都、大阪府、福岡県で、いずれも大学や専門学校が会場です。

料金

受験手数料は30,000円で、所定の払込用紙で銀行口座に振り込み支払います。

歯科技工士の国家資格の取得難易度~合格率は95%以上?!~

厚生労働省の令和2年度歯科技工士合格者数を見ると、受験者は859人に対して合格者は823人。合格率は95.8%でした。過去3年間の合格率はいずれも94~95%であることから、非常に高い合格率であるといえます。
総合点で判定されるのではなく、科目群ごとの得点がそれぞれ60%以上であるかが焦点です。すなわち、学説試験では80点満点で48点以上、実地試験では3つの課題90点満点に対して54点以上が必要です。そのほかにも学説試験においては基礎科目群と専門科目群でそれぞれ30%以上の点数を獲得していることが合格の条件です。
合格率が非常に高いことからも、養成学校で定められたカリキュラムを受講し、過去問などの試験対策を行っておけば特別難しくないといえます。ただし、養成学校の卒業と同時に受験した新卒と既卒者の合格率では差があるため、卒業と同時に受験し合格しておくことがベストでしょう。

なぜ取得するの?歯科技工士の資格を取得するメリット

メリット①国家資格であること

歯科技工士は国家資格であり、指定された養成所でカリキュラムを受講しなければ取得できません。一見すると養成所に通うことは面倒に思えるかもしれませんが、公的な機関で必要な知識とスキルを身に付けて得た資格は心強い身分証明書であり、国から社会的信頼を獲得した証でもあります。国家資格は一度取得してしまえば一生、いつでもどこでも使えます。つまり、今後さまざまなキャリアを形成するうえでひとつの揺るぎない土台ができるということです。

メリット②開業権を得られる

歯科技工士は、独立開業が認められている数少ない国家資格です。取得後は歯科医院や歯科技工所に勤めることはもちろん、社会に出てスキルやノウハウを積んだあとに、自分の会社を持つこともできます。何歳になっても歯科技工士として活躍でき、次の世代を育成したり、より歯科技工技術発展のために得意分野を突き詰めるのもいいでしょう。自分の頑張り次第で経営者としての道を切り開くことができるのも、歯科技工士の大きな魅力のひとつです。

メリット③就職の受け皿が広い

歯科技工士の勤務先の多くは歯科技工所や歯科医院ですが、高水準の教育を受けてその知識と技術を国に認められている日本の歯科技工士は、世界的にも高い評価を受けています。活躍の場は国内に留まらず、歯科医療を必要とする国と地域ならば世界中で仕事をする機会があります。また、力要らずの座り仕事であることから、性別や年齢に左右されず働くことができ、まさに生涯に渡って安定的に活躍し続けることができる資格といえるでしょう。

メリット④今後さらに高まるニーズ

歯は加齢とともに衰えていくものです。そのため、歯の治療に欠かせない詰め物や入れ歯などを専門的に扱う歯科技工士は、少子高齢化社会を迎える国内ではますますニーズが増していくことが予想されます。近年はオーソドックスな入歯や詰め物だけでなく、インプラントやさまざまなタイプの義歯が登場しており、歯科技工士に求められる技術も上がっています。また、自分が作った歯によって患者さんの健康な生活に貢献できることは、大きなやりがいに繋がるでしょう。

どうやって取得するの?歯科技工士の資格を取得する方法

歯科技工士の資格を取得するまでの流れ

歯科技工士の国家試験を取得するには、高校卒業後、文部科学大臣または厚生労働大臣が指定した大学や専門学校で2年以上、科学的思考と人間と生活基礎から構成される基礎分野、歯科技工と歯科医療や歯科技工と歯科医療を学ぶ専門基礎分野、有床義歯技工学や歯冠修復技工学を身に付ける専門分野の3分野を履修する必要があります。また、数は少ないですが夜間に通える学校もありますので、仕事と学業の両立も可能です。
卒業後、2月に実施される国家試験を受験し、3月の合格発表で合格できれば晴れて歯科技工士の仲間入りです。
注意しておきたいのが、合格するだけでは歯科技工士として働くことができない点です。合格後は、指定の登録機関への申請が必要です。申請後、歯科技工士名簿に登録されると、免許が交付されます。歯科技工士として就職するためにはこの免許が必須です。合格後は忘れずに申請しましょう。

歯科技工士の資格を取得するための一般的なルート

歯科技工士になる際の一般的なルートは、専門学校です。
実際、厚生労働省のデータによると歯科技工士として働いている人の9割以上が専門学校卒業となっています(大卒が12.1%、高卒が7.6%)。また、歯科技工士の国家試験は指定された養成所で必要なカリキュラムを修了しなければ受験資格を得られませんので、独学では資格取得はできません。

まとめ

歯科技工士は、歯科医師の指示のもと非常に精巧な技術と専門的な知識をもって人工的な歯を作り、口の中から患者さんの健康サポートを行う職業です。迫りくる少子高齢化社会の中ではますますニーズが高まっていく歯科技工士ですが、資格の取得難易度は低いため、きちんと養成所に通って勉強すれば、将来性と有効性においてメリットが大きいといえます。出産や子育てなどでライフスタイルが変わっても安定して働き続けたい人は、ぜひ取得を目指してみてはいかがでしょうか。

当記事に記載の数値や事実等に関しては、下記サイトの情報を基に作成しております

職業情報提供サイト(日本版O-NET)歯科技工士
https://shigoto.mhlw.go.jp/User/Occupation/Detail/165
厚生労働省令和2年度歯科技工士国家試験の合格発表について
https://www.mhlw.go.jp/general/sikaku/successlist/2021/siken22/about.html
厚生労働省令和元年度歯科技工士国家試験の合格発表について
https://www.mhlw.go.jp/general/sikaku/successlist/2020/siken22/about.html
厚生労働省平成30年度歯科技工士国家試験の合格発表について
https://www.mhlw.go.jp/general/sikaku/successlist/2020/siken22/about.html
新東京歯科技工士学校
https://www.dt.ntdent.ac.jp/contents/column/2243/
厚生労働省歯科技工士国家試験の施行
https://www.mhlw.go.jp/kouseiroudoushou/shikaku_shiken/shikagikoushi/index.html
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