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義肢装具士の仕事内容とは?仕事の魅力・やりがいを解説!

2022年05月31日

はじめに

義肢装具士は、義肢装具の採型、製作、適合に関わることができる仕事です。このような義肢装具士の仕事内容について詳しく知りたくないですか?この記事では、義肢装具士の仕事内容や仕事の魅力・やりがいについてわかりやすく紹介致します。義肢装具士にご興味がある方は是非ご参照ください。

義肢装具士とは?

義肢装具士の定義

義肢装具士は昭和62年にできた「義肢装具士法」によって国家資格として誕生しました。そこでは義肢装具士は「厚生労働大臣の免許を受けて、義肢装具士の名称を用いて、医師の指示の下に、義肢及び装具の装着部位の採型並びに義肢及び装具の製作及び身体への適合を行うことを業とする者」と定義されました。近年では、義肢装具を使用する方の日常生活をサポートするだけでなく、スポーツを楽しみたい方やアスリートの方にスポーツ専用の義肢装具を製作、提供をするなど、義肢装具士の活躍の場は広がっています。

義肢装具士の仕事内容

義肢装具士の仕事は、医師の指示の下、患部の型取りとカウンセリング、身体の一部を失った人が使う義手や義足などを指す「義肢」と麻痺や変形などで身体の一部の機能が失われた人が使う医療具を指す「装具」の製作、患者さんへの仮合わせや調整を行うことです。
義肢装具士の資格を持っていない場合は義肢装具の製作のみが仕事となりますが、資格所有者は製作に加えて患部の採型や仮合わせ、調整を行うのも仕事です。
義肢装具士の勤務先としては、民間の義肢装具の製作会社が一般的ですが、中にはリハビリ施設や病院、スポーツ現場も挙げられます。スポーツ現場では、義肢装具を使用しているスポーツ選手のサポートをすることが仕事となります。

詳しい仕事内容~製作工程~

上記で、義肢装具士の仕事内容の概要を説明しました。では、義肢装具士が実際に行う義肢装具の製作の流れはどのようなものでしょうか。義肢装具士が製作するときの基本的な工程があり、ここでは義肢の中でも義足の製作工程を説明します。

カウンセリング

義足の製作はまず、どんな義足を作るのかを決めます。一人一人に合った義足を作るために、実際に足を触ったり、身体の状態や希望をヒアリングしたりします。この時、患者さんと信頼関係を築けるようなコミュニケーションを取ることが重要です。

採型・モデル修正

患者さんの体に合った義足を製作するために、足の型取りを行います。患者さんの患部を石膏のギブス包帯で巻いて型を取ります。その後、取った型に石膏を流して患者さんの足を再現します。患者さん一人ひとりに合わせて、石膏を盛ったり、削ったりして調整して、モデルを仕上げます。

ソケット作成・組み立て

修正を施したモデルに、プラスティックを成型します。また、構成要素によってはソケット内部に使う足を差し込む部分もモデルに合わせて製作します。ソケットとは、足の切断部分を収納するカップ状のパーツのことです。全てのパーツを組み合わせ、長さ・位置などの全体のバランスを調整します。

仮合わせ・仕上げ・納品

組み立てた義足を実際に患者さんに装着します。ここでは、痛みや違和感、使いづらさを患者さんに直接確認します。歩行の観察や本人からの意見をもとに、ソケットの装着具合、歩く際のバランスや足の角度等を調整します。この調整を何度も行い、完成したものを患者さんにお渡しします。

義肢装具士の一日のスケジュール

これは義肢装具士の製作中心の1日のスケジュールです。義肢や装具を利用する患者さんの採寸やカウンセリング、メンテナンスを行うことも重要な仕事の一つです。そのため、訪問先の病院や利用者宅、リハビリ施設に行き、患者さんに会ってヒヤリング等を行う日もあります。

義肢装具士の一日のスケジュール 義肢装具士の一日のスケジュール

義肢装具士に必要な資質

集中力

義肢装具士の仕事の中心は、製作作業になるでしょう。繊細な作業が長時間に及ぶことも多いため、高い集中力が求められます。

探究心や創意工夫

探求心と創意工夫は、必要な資質でしょう。理由としては、患者さんにより良い義肢装具士を提供するために、日々進化する医療技術に対して新しい知識を得ようとする気持ちや患者さん一人ひとりに合うものを考えることが求められるからです。

コミュニケーション能力

義肢装具士は、高いコミュニケーション能力が求められます。理由は2つあります。1つ目は、患者さんのご要望や気持ちを汲み取ることや義肢装具の説明をすることが必要であるからです。特に、心身に傷を負っている患者さんの中には、心を閉ざしている方もいらっしゃるため、高いコミュニケーション能力が重要であるといえます。
2つ目は、義肢装具士は医師とのコミュニケーションが必要であるからです。義肢装具士は医師の指示に基づいて義肢装具の製作を行い、また患者さんの義肢装具の状況を医師に伝えることが仕事の一つであり、義肢装具士は医師と患者さんの間に入ってコミュニケーションを取ります。義肢装具に関する知識が少ない医師もおり、そのような医師に対して説明したり、指導したりする際にコミュニケーション能力は必須です。

義肢装具士の魅力

リハビリ現場で必要不可欠な存在

義肢装具士は医療・リハビリ業界で必要不可欠な存在です。義肢装具は一人ひとりに合わせるオーダーメイドであり、機械で大量生産はできないため、専門的な知識と技術を持った人間の力が必要とされます。また、義肢装具士は患部の採型や義肢装具の調整を行うことができる唯一の資格であり、需要の高い傾向にあり、医療・リハビリ業界でとても重宝される存在です。

患者さんに直接関われる

義肢装具士はものづくりの仕事ですが、患者さんと深く関わる仕事でもあります。義肢装具士の仕事の基本は、患者さんから直接お話を伺い、コミュニケーションを取り、患者さんに最適の義肢や装具を提供していくことです。そのため、患者さんとの距離は近く、信頼関係を築いていくことができます。さらに患者さんのサポートができた際に、感謝の言葉を直接いただけることも魅力でしょう。

自分の力を発揮できる

義肢装具士は自分の持っている力を発揮できるという魅力があります。義肢装具士は採型から納品までを1人で担当するのが一般的です。そのため、患者さんに最適な義肢装具を提供するために、自分の持つ知識や技術を存分に発揮することができます。

義肢装具士のやりがい

義肢装具士は、大きなやりがいのある仕事です。理由は2つあります。1つ目は、義肢装具士は身体の一部を補うという他にはない仕事であり、義肢装具を必要とする方は多くいらっしゃるからです。義肢装具士は患者さんに強く求められる存在であるといえます。
2つ目は、義肢装具を必要とする患者さんの中には身体の一部を失ったり、障害を抱えたりすることによって夢や希望をあきらめてしまう方もいらっしゃり、そのような方々に対して義肢装具をつくることによって生活または人生を支えることができた際に、患者さんから直接いただける感謝の言葉や笑顔を見て、大きなやりがいを感じることができるからです。

義肢装具士として大変なところ

時期によって変動する忙しさ

義肢や装具の注文状況によって忙しさは変わってきます。注文が多い時は、納期に間に合わせるために長い時間働く必要がある場合があります。一方で、注文が少ない時は、時間に余裕ができ、新しい知識を得るための勉強をする時間が取れるでしょう。

給料に関する不安

義肢装具士の平均年収は約300万から400万で、他の国家資格と比べて高くはないです。義肢装具士の世界は実力社会であり、高い技術をつければ給料アップが可能なため、昇格や給料増加を望むのであれば、専門的な知識や技術をつけて、実力を上げることが必要になります。

コミュニケーションの難しさ

上記で説明した通り、義肢装具士は事故や病気によって心身共に傷を負った患者さんと直接的に関わります。中には心を閉ざしている方や義足や装具を拒否する方もいらっしゃいます。そのような方とコミュニケーシをとることは難しく、義肢装具士自身が傷つくこともあるかもしれません。ただし、そのような患者さんの笑顔を見れた時には、大きな達成感とやりがいを感じることができると言えます。

まとめ

義肢装具士は、身体の一部や機能を失った人に義肢や装具をつくるプロフェッショナルです。仕事内容は専門性を持っており、強く求められる職業です。義肢装具士として働くにあたって、時間的・金銭的・コミュニケーシに不安な要素があるかもしれません。しかし、それに負けないくらい仕事のやりがい・魅力が詰まっている職業だといえます。義肢装具士は、義肢や装具をつくることによって人の生活を支える、社会に必要不可欠な存在です。

当記事に記載の数値や事実等に関しては、下記サイトの情報を基に作成しております

厚生労働省 職業情報提供サイト(日本版O-NET)
https://shigoto.mhlw.go.jp/User/Occupation/Detail/176
衆議院ホームページ
https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_housei.nsf/html/houritsu/10819870602061.htm
公益財団法人 テクノエイド協会
http://www.techno-aids.or.jp/senmon/
公益社団法人 日本義肢装具士協会
https://www.japo.jp/

実際に働いている人の口コミをチェックしよう!

義肢装具士として実際に働く方にアンケートをとり、 「仕事内容」に対する満足度を5段階で評価してもらいました。
実際に働いている人の口コミを参考に、どんな仕事なのかイメージをつけましょう!

義肢装具士の 「仕事内容」の 口コミ一覧

全4件

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群馬県の20代後半女性

正社員 / 150万円以上~200万円未満 / 専門学校卒

就職先:義肢装具製作所

仕事内容の満足度 ★★★★☆ 4.0
  • 仕事内容

    患者様がより良い環境になるフィードバックを得られたときにやりがいを感じることができるから。

  • ワークライフバランス

    病院が休みな赤日は休みになるので休日に無理して働くことがないため。逆に営業日が決まってるため有給がとれない。

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愛知県の30代前半女性

正社員 / 300万円以上~350万円未満 / 専門学校卒

就職先:義肢装具製作所

仕事内容の満足度 ★☆☆☆☆ 1.0
  • 仕事内容

    やりがい以外は感じられない。残業も多く、学校で習ったような丁寧さよりもスピード感が求められる為一人一人に向き合っている暇はない

  • ワークライフバランス

    残業は100時間を越す。仕事内容にもよるが昼間は外に出て戻ってから製作作業をやることが多かったので夜中日付が変わるまでやっていた

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長野県の20代前半男性

正社員 / 300万円以上~350万円未満 / 大学卒

就職先:義肢装具製作所

仕事内容の満足度 ★★★☆☆ 3.0
  • 仕事内容

    患者さん一人一人に適合した義肢装具を作らなくてはいけないので、そこがとても難しく、またやりがいのあるところではあります。

  • ワークライフバランス

    残業が多く、なかなか自分のプライベートを確保するのが難しいため、ワークライフバランスが取れていない現状きあるから。

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長野県の20代後半男性

正社員 / 300万円以上~350万円未満 / 大学卒

就職先:義肢装具製作所

仕事内容の満足度 ★★★★☆ 4.0
  • 仕事内容

    患者さん一人一人に適合した装具や、義肢を作ることがとても大変です。ただ、しっかりと適合した義肢装具を作れたときはやりがいをすごく感じることができます。

  • ワークライフバランス

    残業が多く、帰りが遅くなることもしばしばあるため、プライベートの時間を確保することがなかなか難しいからです。

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