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言語聴覚士の仕事内容とは?仕事の魅力・やりがいを解説!

2022年03月01日

はじめに

「話す・聞く・食べる」は生きていくうえで欠かせない行為です。これらを支え、人の生きる喜びを感じてもらう職業が言語聴覚士です。ここでは言語聴覚士の仕事内容や向いている人の特徴、やりがいや大変なことについて分かりやすく解説します。

言語聴覚士とは?

言語聴覚士の定義

障害を持つ方などへ言語や嚥下機能のリハビリテーションを行う専門職で、「Speech Therapist」の略であるSTとも呼ばれます。国家資格である言語聴覚士の仕事内容などは言語聴覚士法に定められており、具体的には「音声機能、言語機能又は聴覚に障害のある人々に対して、その機能の維持向上を図るため、言語訓練その他の訓練、これに必要な検査及び助言、指導その他の援助を行うことを業とする者」と定義されています。

言語聴覚士の仕事内容

言語聴覚士の仕事は、事故や病気などによって言葉によるコミュニケーションがしづらい方に専門性の高いサービスを提供し、その人がその人らしい生活を送れるよう支援することです。患者は脳卒中の後遺症や先天性の障害などさまざまな原因を抱えていますので、それぞれに合った対処法を見出し、最適な訓練やアドバイスなどのサポートを行います。コミュニケーションだけではなく食べ物をうまく飲み込むための訓練なども行うことから、「話す、聞く、食べる」のスペシャリストともいわれます。急速に少子高齢化社会が進む日本において、言語聴覚士のニーズは今後もどんどん高まっていくでしょう。

3つの大きな役割

言語聴覚士の仕事は大きく分けて3つに分類されます。
1-3-1. 食事の訓練
食べ物や飲み物をうまく飲み込めなかったり、むせてしまったりする人に向けて、原因に合った対処法を行います。具体的には、飲み込みに必要な反射能力を向上させる反射訓練や、舌や口の動かし方の指導などを行います。

1-3-2. 言葉の訓練
事故や病気が原因で頭に浮かんだことをうまく言葉にして発信できない人に向けて、指導やリハビリテーションを行います。声帯や舌など発声のために必要な運動機能が低下している場合は、回復のための訓練を行います。また、言葉の発達が遅れている子どもには、絵本などを使って文字の読み書きの指導を行います。このとき本人だけではなく、子どもの周辺環境を整えるために家族や教育機関に協力を促すこともあります。そのほか、記憶が持続しにくい患者に向けて、カードや図形などの道具を用いて知能の検査や訓練を行います。

1-3-3. 聴覚の支援
生まれつき聴覚機能に障害がある方もいれば、事故や病気などの後遺症で障害が残ってしまう方もいます。言語聴覚士はまずヒアリングや検査を通じて患者の障害の原因を特定し、訓練を行います。補聴器などの人工的な器具を使っている場合はその調整なども行います。

言語聴覚士の仕事は、「話す・聞く・食べる」をサポートすることであり、まさに患者の生きる喜びに直結します。小さい子どもから高齢者まで幅広い世代を対象に、患者本人はもちろん、患者をサポートする家族の生活や気持ちに寄り添う役割を果たします。

言語聴覚士の一日のスケジュール

訓練や指導はリハビリテーション室、歩行が難しい患者は病室で行います。

言語聴覚士の一日のスケジュール例 言語聴覚士の一日のスケジュール例

言語聴覚士に必要な資質

観察眼

言葉によるコミュニケーションがうまくとれない患者の意志や症状を、ちょっとした仕草や表情、発話から読み取らなければいけません。そのため、患者の些細な仕草も見逃さない観察眼と注意力が必要です。

共感力

思うように言葉を伝えられなかったり、物を飲み込めなかったりする患者は、それだけで大きなストレスを抱えています。特に後遺症で苦しむ患者には心のケアが大切です。患者の心に耳を傾け、寄り添う心が必要となるでしょう。

人への関心

障害で苦しむ患者と向き合い、訓練や指導の枠を超えて一人の人間として寄り添うことが、患者の回復にとって最善の薬になります。人に興味を持てる人、人とのコミュニケーションが好きな人が向いている仕事だといえます。

根気強さ

リハビリテーションや訓練の成果は一朝一夕で成果を出すものではありません。回復を信じて長い年月をかけて障害と向き合うことができる根気強さは、患者や家族の方だけでなく言語聴覚士にとっても大切な資質になります。

言語聴覚士の魅力

将来性がある

言語聴覚士は理学療法士や作業療法士などの他のリハビリテーション専門職と比べて数が少なく、リハビリを必要としている方のニーズに追いついていないのが現状です。そのため必然的に言語聴覚士が活躍できる医療現場や教育機関の数が多いため、職業としての将来性があることが魅力のひとつです。

女性が活躍

リハビリテーションの専門職の中でも力仕事が少なく、夜勤等も発生しないため、規則的な就業時間で働くことができます。それゆえ、女性でも長く続けやすい職業です。言語聴覚士の多くが勤めている病院などの医療機関では託児所を併設していることも多く、結婚・出産などで女性のライフスタイルが変化しても働きやすいこともポイントです。

柔軟な働き方

言語聴覚士の働き方は非正規雇用から正社員までさまざまです。国家資格であるため、一時的に現場から離れても比較的容易に復帰することができます。言語聴覚士として専念することはもちろん、子育てや趣味を大事にしながら働くなど、それぞれの立場に合った働き方を選べます。

言語聴覚士のやりがい

人が生きていくうえで、「話す・聞く・食べる」という行為は欠かせない要素です。それらをサポートする言語聴覚士は、患者に生きることの喜びや楽しさを取り戻してもらうための役割を担っています。献身的に指導や訓練を行った患者が回復し、感謝の言葉を伝えられたときのやりがいは格別でしょう。また、がんばって訓練に取り組み、失敗しながらも少しずつ成長していく子どものサポートを見届けることは、その子どもの成長に関わることでもあり、仕事のやりがいを大いに感じることができるでしょう。

言語聴覚士として大変なこと

持続的な成長

言語聴覚士に限らず医療現場で働く全ての職業は、患者の命や生活に関わるため、最新の知識と確かな技術が常に求められます。患者の症状や人柄はそれぞれなので、一定のやり方を続けるだけではなかなか回復に繋がらないこともあるでしょう。自分の知識と技術を更新し続け、患者に最適なリハビリテーションを提供しなければなりません。

根気強さ

言葉によるコミュニケーションができない患者と意思疎通を図り、こちらがお願いしたいことをリハビリが必要な身体で実践してもらうことは容易ではありません。また、障害を持ったことによって心に傷を負っている患者もいます。そういった患者に対して焦らず、効果が出るまで根気よく向き合い続けられる気力を持たなければなりません。

まとめ

言語聴覚士は患者が自分らしく生きるため、かつ生きている喜びを取り戻してもらうための手助けをする役割があり、社会に必要とされている職業です。言葉によるコミュニケーションがとれない患者のケアや指導は決して容易ではありませんが、一人ひとりの人生に向き合いながら困難と成長を見届けられることは、大変さ以上に魅力ややりがいが詰まっているといえます。少子高齢化社会が進む日本において、言語聴覚士はこれからますます必要とされる存在になっていくでしょう。困っている人の役に立ちたい、誰かの人生を良い方向に支えたいという志のある人は、ぜひ目指してみてください。

当記事に記載の数値や事実等に関しては、下記サイトの情報を基に作成しております

厚生労働省言語聴覚士法制定の目的
https://www.mhlw.go.jp/www1/topics/tyokaku/tp0918-a.html
学校法人神戸滋慶学園姫路医療専門学校
https://www.hmc.ac.jp/gakka/st/detail

実際に働いている人の口コミをチェックしよう!

言語聴覚士として実際に働く方にアンケートをとり、 「仕事内容」に対する満足度を5段階で評価してもらいました。
実際に働いている人の口コミを参考に、どんな仕事なのかイメージをつけましょう!
実際に働いている人の
言語聴覚士の「仕事内容」の満足度
★★★★☆ 3.7 (41件)

言語聴覚士の 「仕事内容」の 口コミ一覧

全41件

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兵庫県の30代前半男性

正社員 / 350万円以上~400万円未満 / 専門学校卒

就職先:病院

仕事内容の満足度 ★★★☆☆ 3.0
  • 仕事内容

    大変ではあるし、責任はおおきい、命に直結しているから、怖い。毎日が戦い

  • ワークライフバランス

    休みたいときに休める。 5時で帰られる。自分の時間は大切にしたいから、仕事の仕方はきめられる

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静岡県の40代男性

正社員 / 350万円以上~400万円未満 / 大学卒

就職先:介護・福祉施設

仕事内容の満足度 ★★★☆☆ 3.0
  • 仕事内容

    環境が整っていれば、仕事に対して結果が得られる。人に感謝される仕事ができる。しかし責任も重く、ミスをすれば人命に関わる仕事でもある。

  • ワークライフバランス

    現在はサービス残業はほぼなくなっている。しかし、休日出勤を求められたり、長期休暇が取りにくいなど、バランス悪いな。3点じゃないな。

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青森県の30代前半男性

正社員 / 450万円以上~500万円未満 / 専院

就職先:病院

仕事内容の満足度 ★★★★★ 5.0
  • 仕事内容

    患者さんから感謝されることでの達成感や治療していて少しの介入でも良くなってることがわかる達成感から。

  • ワークライフバランス

    休みが取りやすく休みも充実して過ごしていて、仕事と趣味とのメリハリがある点から。

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東京都の20代後半女性

契約社員 / 100万円未満 / 大学卒

就職先:病院

仕事内容の満足度 ★★★★☆ 4.0
  • 仕事内容

    やりがいを感じるからです。弱っている患者さんを見てしまうと、どうしても辛い気持ちになりますが、一緒に頑張ろうねと、尽くしたいと思いました。どう乗り越えていくかが大きな課題です。

  • ワークライフバランス

    月平均的にみな残業時間を少しだけ取り、20時間くらい前後かなと思います。 休みについては長期休暇があります。

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富山県の30代後半女性

正社員 / 350万円以上~400万円未満 / 大学卒

就職先:訪問看護ステーション

仕事内容の満足度 ★★★★★ 5.0
  • 仕事内容

    感謝されることが多い仕事だからです。改善したことが目に見えてわかるときがやりがいを感じます。

  • ワークライフバランス

    有給が取りやすい環境です。その他にも季節休暇が年に二回とれるので助かっています。

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