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助産師に必要な資格とは?取得するメリットを解説!

2022年03月01日

はじめに

妊産婦の出産を介助して、相談に乗ったり、適切な指導をしたりしてくれる助産師は、国家資格の取得が必要な職業です。この記事では、そのような助産師について、資格の概要、資格の取得方法、国家試験の内容と取得難易度、そして資格取得のメリットについてご紹介します。

どんな資格?助産師の資格概要

妊婦を支える国家資格「助産師」

助産師は女性だけが就ける職業で、病院や妊婦の自宅で分娩介助を行います。それだけではなく、出産前後も健康相談に乗ったり、出産や育児に必要な助言や保健指導を適宜行ったりと、幅広い仕事を担います。
ただし、産婦人科医と異なり、帝王切開のような手術を行うことはできません。
病院や診療所で働くこともできますが、独立して自分の助産院を開くこともできる自由度の高い職業です。

助産師の成り立ち

江戸中期には産婆(それ以前には取上婆など)と呼ばれる人が地域にいて、助産師の前身とされています。出産の介助を行う知識や技術を持った女性が、妊産婦への指導や新生児のケア、場合によっては堕胎、間引きを行っていました。

明治時代に入ると産婆は堕胎を禁止されました。1876年(明治9年)には専門の学校が開校し、西洋医学に基づく教育を受けた産婆が次々と誕生しました。1899年(明治32年)には産婆に関する法律が制定され、専門職として確立していきました。
しかし、戦後GHQがそれまで単独だった産婆の制度を解体して、保健婦、助産婦、看護婦を一体化する新たな制度に改変し、その制度が基本的に現在まで引き継がれています。

助産師の国家試験概要と取得難易度

助産師の国家試験概要

実施日

年に一度のみ、2月に開催されています。令和4年の国家試験は2月10日です。

試験内容

基礎助産学、助産診断・技術学、地域母子保健、助産管理基礎助産学の計4科目について、基本的な理解を確かめる試験です。

形式

一般問題75問に状況設定問題35問が加わったマークシート形式の客観式試験です。

開催地

北海道、東京都、愛知県、大阪府、沖縄県などを含む12都道府県が開催地に選ばれています。

料金

5,400円

注意事項

看護師と助産師両方の国家試験に合格しなければ助産師にはなれません。看護師と助産師の国家試験を同じ年に受けることもできますし、まず看護師の試験に合格してから1~2年後などに助産師の国家試験に挑戦することも可能です。毎年の試験に関する詳細は、厚生労働省の公式サイトに載せられています。

助産師国家資格の取得難易度~合格率は9割以上?!~

2021年に行われた第104回助産師国家試験の合格基準は、145点満点のうち87点以上の得点でした。75問ある一般問題を1問1点で、35問ある状況設定問題を1問2点で得点を計算し、合計145点満点です。この年の試験の受験者は2108人で、そのうち2100人が合格し、合格率は99.6%と極めて高くなっています。一発で合格できる可能性が極めて高いことを反映してか、新卒の受験者数は2097人、新卒の合格率は99.7%であり、全受験者のうち99%以上を新卒者が占めています。
なお、2020年第103回の合格率は全体で99.4%であり新卒者は99.5%、平成31年第102回の合格率は全体で99.6%であり新卒者は99.9%でした。したがって、普段からしっかりと国家試験の対策を行って勉強していれば、助産師国家試験に合格する可能性は極めて高いと言えるでしょう。

なぜ取得するの?助産師の資格を取得するメリット

メリット①平均年収が高い

看護師は平均年収が比較的高い職業として知られていますが、看護師の上位資格である助産師の平均年収は、看護師の給料をさらに上回ります。夜勤手当、オンコール待機手当、分娩介助手当など、頑張って働いた分に対して支給される手当が充実している職場が多く、高収入が期待できます。  

メリット②独立して開業できる

助産師は、経験を積むことで独立して助産所を開業できます。経験が豊富で妊産婦から厚い信頼を寄せられる助産師で、経営手腕に優れていれば、勤めるよりも高い収入が得られるでしょう。助産師には更新制のアドバンス助産師という、助産実践能力が一定レベル以上であることを認定する上位資格があります。認証を受けられれば、独立したときに役立つでしょう。

メリット③生命誕生の瞬間に立ち会える

助産師は看護師とは異なり、産婦人科医がいなくても、単独で出産を介助して、赤ちゃんをとりあげることができる専門職です。担当する妊婦をサポートしながら、新しい生命が誕生する感動的な瞬間に立ち会い、その場で喜びを共有できるのは、助産師の仕事の醍醐味です。

メリット④活躍の場が幅広い

助産師は主に、産婦人科がある病院やクリニック、助産師外来、助産所などで働きます。ほかにも活躍の場があり、産後ケア施設、子育て・女性健康支援センター、保健センター、コールセンター、教育機関、行政機関などで働く助産師もいます。
また、助産師は看護師国家試験にも合格しているため、助産の仕事に特化せずに、看護師として働くことも可能です。出産をはじめ、看護の場面で広く活躍したいと考えている人には適職といえるでしょう。

どうやって取得するの?助産師の資格を取得する方法

助産師の資格を取得するまでの流れ

助産師になるには、助産師の国家試験だけでなく、看護師の国家試験にも合格しなければなりません。そのため、高校卒業後まずは看護師資格を取るために、3年制の看護短期大学や看護専門学校、または4年制の看護大学に進学して、看護師資格を取ります。その後は、短期大学・専門学校・大学院の助産師教育機関で1年以上学んで修了すれば、国家試験の受験資格が与えられます。助産師の国家試験は、助産師教育機関の最終学年の2月に実施され、3月中旬までに修業証明書を提出し、3月下旬に合格発表という流れになり、合格していれば念願の助産師資格を取得できます。

短期間で助産師になるには、4年制大学でまず看護師課程を学び、3年生のときに助産師課程の選抜試験を受けます。定員が少ないですが合格できれば、助産師課程も修め、4年生の卒業見込み時に看護師と助産師両方の受験資格を得ることも可能です。2月に両方の試験を受けて3月の合格発表でどちらも合格すれば、助産師の資格を得て働けるようになります。

助産師の資格を取得するための一般的なルート

助産師の資格を得るための最も一般的なルートは、看護系の大学卒です。厚生労働省の職業情報提供サイトによると、69.7%が大卒と推定されています。専門学校の助産師課程で学んだ人も59.2%と推定されており、少なくありません。
看護系の大学を卒業して看護師資格を取ってから助産師を養成する専門学校に進んでいる人もいるため、両方の学歴を持っている人も多いでしょう。

まとめ

この記事では助産師の資格について紹介しました。助産師は看護師の上位資格に位置づけられる国家資格です。少子化が進んでいますが、産婦人科医が不足する日本において、助産師には高いニーズがあります。
4年制看護大学で助産師課程を修めると卒業見込みの状態で看護師と助産師のダブル受験ができるので有利です。2つの国家試験対策をするのは負担がありますが、看護師の国家試験と助産師教育機関への入学試験を受けるのもやはり大変です。
助産師になりたいという希望が強いなら、4年制大学で3年時の選抜試験を勝ち抜き、ダブル受験を目指しましょう。

当記事に記載の数値や事実等に関しては、下記サイトの情報を基に作成しております

日本看護協会
https://www.nurse.or.jp/nursing/josan/oyakudachi/kanren/sasshi/room/index03.html
日本助産師会
https://www.midwife.or.jp/about/ayumi.html
第105回保健師国家試験、第102回助産師国家試験及び第108回看護師国家試験の合格発表について
https://www.mhlw.go.jp/general/sikaku/successlist/2019/siken03_04_05/about.html
第106回保健師国家試験、第103回助産師国家試験及び第109回看護師国家試験の合格発表
https://www.mhlw.go.jp/general/sikaku/successlist/2020/siken03_04_05/about.html
第107回保健師国家試験、第104回助産師国家試験及び第110回看護師国家試験の合格発表
https://www.mhlw.go.jp/general/sikaku/successlist/2021/siken03_04_05/about.html
一般財団法人日本助産評価機構
https://www.josan-hyoka.org/personalidentification/application-2/
学校法人亀田医療技術専門学校
http://www.kameda-i.ac.jp/entrance/pr/applicants/maternity02/index.html
公益社団法人全国助産師教育協議会
https://www.zenjomid.org/wp-content/uploads/2021/03/studentleaflet.pdf
厚生労働省第107回保健師国家試験、第104回助産師国家試験及び第110回看護師国家試験の学校別合格者状況について
https://www.ishin.jp/support/kokka/pdf/josan21.pdf
職業情報提供サイト助産師
https://shigoto.mhlw.go.jp/User/Occupation/Detail/157
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