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建築士に必要な資格とは?取得するメリットを解説!

2022年03月01日

はじめに

建築物の設計を通じて建築物の安全性を確保し、災害に強いまちづくりをサポートする建築士について詳しく知りたいと思いませんか。この記事では、建築士という国家資格について、資格の概要、取得方法、国家試験の内容と取得難易度、資格取得のメリットについてご紹介します。

どんな資格?建築士の資格概要

建物を造る国家資格「建築士」

建築士は、建築士法で定められた国家資格を有する専門家です。資格は一級建築士・二級建築士・木造建築士の3つに分かれており、担当する仕事は、建築物の設計や工事監理です。設計の仕事は、意匠・構造・設備の3つに細分化されます。また、工事監理では、建築主の代わりに工事の内容をチェックして、必要に応じて修正の指示を行うのが目的です。公共施設や延べ面積の大きな建造物を新築する際には、一級建築士でないと設計と工事監理は実施できません。

建築士の成り立ち

日本では、建築士の存在はなかったものの、伝統技術を継承する工匠制度が早くから確立されていました。しかし、世界最古の木造建築が1,300年以上前に建てられた法隆寺だといわれているように、日本では古くから優れた建築物が造られています。建築士法の制定により、国家資格が誕生したのは1950年のことです。建造物の安全性において重大な責任を持つ建築士は、地震や台風が多い日本において、非常に重要な役割を担います。さらに、人手不足と建物の多様化・高度化・新しい技術の導入も進んでおり、今後も建築士のニーズはますます高くなるはずです。

建築士の国家試験概要と取得難易度

建築士の国家試験概要

実施日

受験できるのは年に一度となり、7月に学科、10月に設計製図試験が実施されます。

試験内容

学科試験は、計画、環境・設備、法規、構造、施工の5科目です。設計製図試験では、課題の設計図書を作成します。

形式

学科は四肢択一のマークシート形式、設計製図試験は手描きによる設計図書の作成です。

開催地

47都道府県のすべてに試験会場が設けられ、受験者の居住地により試験場が決定します。

料金

受験にかかる費用は17,000円ですが、それとは別に事務手続きの手数料も必要となります。

注意事項

令和2年度から、これまで受験資格の要件に含まれていた実務経験が不要となりました。ただし、免許の登録までには、決まった年数以上の建築実務経験を身に付けておく必要があります

一級建築士国家資格の取得難易度~合格率は10%程度?!~

一級建築士国家試験の合格基準や合格率は、平均して10%程度の合格率となっています。平成28年から令和2年にかけての5年間では、最低となったのが令和2年度の10.6%、最高でも平成30年度の12.5%でした。令和2年度の結果を科目別に詳しく見てみると、学科試験の合格基準点は、計画が20点満点中11点、環境・設備が20点満点中10点、法規が30点満点中16点、構造が30点満点中16点、施工が25点満点中13点、総得点125点満点中88点となっているようです。すべての科目と総得点が基準点以上であれば学科試験は合格となりますが、その合格率は20.7%にとどまっています。一方、学科試験の合格者のみが進める設計製図試験の合格率は34.4%と発表されており、令和2年以前に学科試験に合格している受験者も含め、総合合格率は10.6%という厳しい結果です。このような結果から、一級建築士試験は、非常に難易度の高い資格試験であることが分かります。

なぜ取得するの?建築士の資格を取得するメリット

メリット①待遇がよくなる

住宅業界や建設業界で幅広い活躍を目指すのであれば、建築士は取得しておいた方が望ましい資格といえるでしょう。国家資格を持たなくても業界で働くことは可能ですが、建築士免許を取得していなかった場合には、任せてもらえる仕事が制限されてしまいます。資格を取得していれば手当がつくなど、給与面での待遇がよくなるだけでなく、担当できる仕事の幅が広がるため、業界でのさらなるスキルアップも狙えます。

メリット②独立開業できる

建築士の資格を保有していれば建設会社などで勤務できるのはもちろん、自ら設計事務所を開業することも可能です。実務経験を積んで自分の事務所を構えれば、定年を気にすることなく人生のプランを立てられます。もちろんこの場合、建築に関することだけでなく経営や営業に関しても学ぶ必要がありますが、選択肢を増やせるのも、建築士の資格を取得する魅力の1つといえるでしょう。

メリット③上位資格が多いため、進路の選択肢が広がる

建築士免許を取得しておけば、将来に向けて上級資格へとステップアップを目指すことも可能です。二級建築士の場合は一級建築士へと、一級建築士の場合は構造設計一級建築士・設備設計一級建築士へ挑戦できるため、プロとしてさらなる高みを目指していけます。建築士とひとくくりにいっても、成長していけばできることや専門となる範囲は変わってきます。キャリアプランの幅が広がるのも建築士資格を取得するメリットといえるでしょう。

メリット④同業者や施主から信頼される

一定の知識と技術力が身に付いていると証明できる建築士の資格を持っていると、同業者や施主からの信頼度も厚くなるはずです。上級資格を有するほど責任の重みはありますが、初対面の施主にも高い技術力があると見てもらえるため、仕事がよりやりやすくなります。

どうやって取得するの?建築士の資格を取得する方法

建築士の資格を取得するまでの流れ

一級建築士の資格試験を受験するには、前提条件が定められています。「短期大学・高等専門学校、専修学校等において指定科目を履修して卒業すること」「二級建築士の資格を取得していること」「建築設備士の資格を有していること」の3つです。なお、二級建築士の資格には7年以上の実務経験を積む必要があり、建築設備士は一級建築士の資格よりさらに難易度が高いため、ここでは、大学卒業からの一級建築士を目指した場合を例に挙げて説明します。
受験の申し込みが開始されるのは毎年4月頃です。指定科目修得単位証明書・卒業証明書を必要書類として提出し、審査に通過すると学科試験の受験票が送付されます。学科試験が合格となれば設計製図試験へと進み、12月頃の合格者発表で晴れて合格となっていれば、免許の申請が行えます。ただし、免許申請時までに所定の実務経験を積んでいなかった場合には、2年以上建築関係の仕事に就いて実務を積んでからでないと免許は交付されません。

建築士の資格を取得するための一般的なルート

一級建築士になる際のもっとも一般的なルートが、4年制大学の建築系学科を卒業したあと、建築士事務所や建設業で2年以上働いて免許を取得するという流れです。令和2年度の一級建築士設計製図試験の合格者の内訳を見てみると、合格者の70%以上が大学を卒業して試験を受け、資格を取得しているということが分かります。なお、二級建築士の資格で受験した合格者は、10%以上と低い結果になっています。

まとめ

この記事では、建築士の中でも、特に幅広く活躍できる一級建築士の資格に重点を置いて紹介しました。建築士は建設業界において不可欠な国家資格であり、非常に高いニーズがある資格といえます。免許を取得するまでには複数のルートがあり、自分に適した方法が選択できます。取得難易度はかなり高めですが、その分やりがいがあり、将来的に独立開業できるなどのメリットを考慮すると、ぜひ挑戦してほしい資格試験です。

当記事に記載の数値や事実等に関しては、下記サイトの情報を基に作成しております

一級建築士試験建築技術教育普及センター
https://www.jaeic.or.jp/shiken/1k/index.html
国土交通省一級建築士になるには
https://www.mlit.go.jp/common/000993509.pdf
国土交通省建築士法の一部を改正する法律(平成30年法律第93号)等について
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/build/jutakukentiku_house_fr_000092.html
国土交通省令和2年一級建築士試験「学科の試験」の合格者を決定
https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001361906.pdf
令和2年一級建築士試験「設計製図の試験」の合格者を決定
https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001379917.pdf
交益財団法人建築技術普及センター試験結果
https://www.jaeic.or.jp/shiken/1k/1k-data.html

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