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建築士のキャリアアップの方法は?仕事の現状と将来性を解説!

2022年03月01日

はじめに

建築士の仕事には、時代や環境の変化に合わせたスキルアップと知識の習得が求められます。この記事では、建築のプロフェッショナルである建築士の現状と将来性、建築士としてキャリアを築くために大切な要素を紹介します。建築士に興味がある人は、ぜひ参考にしてください。

現状について

建築士の現状について

建築士の資格には一級建築士・二級建築士・木造建築士の3つがあります。近年、一級建築士の需要は増加傾向にあるものの、二級建築士・木造建築士の需要はそこまで高いと言い切れないのが現状です。
核家族化や少子高齢化が進む日本では、これまでニーズの高かった戸建住宅よりも、マンションが好まれるようになっています。そのため、マンション規模の建築に携わる一級建築士の需要が伸びているようです。
環境に対する配慮や高齢化が進む日本では、エコハウスやバリアフリー住宅など、建築士に求められるニーズが多様化してきています。

建築士が直面している課題について~一級建築士不足~

社会全体で少子高齢化による人材不足が叫ばれていますが、建築士も例外ではありません。国土交通省のデータを見てみると、令和3年4月時点で一級建築士の登録者数は37万3,022人、そのうち建築士事務所に所属して設計を仕事にしている建築士の数は13万9,850人と報告されています。
年齢別に占める割合でもっとも多いのが60代の27%、次に多いのは50代の25%です。一方で、20代では1%、30代が10%となっています。このようなデータから、10年~15年後には、急速な人材不足が進むことが予測されます。そのため、今後も若い一級建築士の確保が業界の大きな課題となるでしょう。
若い建築士が抱える問題として、学習時間を確保できない過酷な労働環境があります。このままの状況が続いてしまえば、より建築士不足は深刻化するかもしれません。なお、設計事務所の半数近くが首都圏に集中しているといわれているため、地域によっては既に慢性的な一級建築士不足に陥っているものと考えられます。

建築士の将来性について

社会変化がもたらす需要の増加

前述したように、一級建築士は不足しているため、この先も需要はさらに高まると予想されています。厚生労働省の調査データによると、令和2年度、一級建築士を含む建築設計技術者の有効求人倍率は4.41倍となっていて、全業種の1.18倍を大きく上回る結果となりました。求人に積極的な状況が続いているため、より良い環境を求めて就職しやすい状況にあるといえます。

建築士の職場環境の変化について

深刻な人手不足が進む建築業界において、将来的に期待されるのが今後AIの活躍です。依頼内容の記録や敷地の調査・データを収集するなど、AIが得意とする分野を任せられるようになれば、業務効率は格段にアップするはずです。建物の設計に必要な計算も、AIであれば正確かつスピーディーに数値を導き出せます。見積書の作成をはじめとした事務作業をAIが処理するようになれば、より建築に直接的な業務に時間を費やせるでしょう。

女性の建築士が活躍する場が増える?!

一級建築士として活躍する女性の数は、約25%といわれています。しかし、令和2年の法改正により、今後この流れが変わってくると期待されています。これまで受験資格に必要とされていた実務経験がなくなったため、受験資格を満たすまでの期間が大幅に短縮され、受験機会が拡大したのです。
大学に進学した場合、指定科目を履修すれば受験資格が得られます。また、二級建築士の取得者は、すぐに一級建築士の試験を受験できるため、若い女性一級建築士の数が増える可能性も高まりました。なお、実務経験は免許登録要件に含まれています。

建築士のキャリアのスタート~就職先~

建築設計事務所

建築士の一般的な就職先は、建築設計事務所です。個人経営の小規模な事務所から大手事務所までさまざまで、事務所によってメインの業務や身に付くスキルの幅は異なります。思い描いているビジョンと照らし合わせながら、より自分の方向性に合う就職先を見つけましょう。

建設会社

建設会社では、建築物に必要な設計・土木・配線などを一手に請け負います。一般的にゼネコンと呼ばれている企業も建設会社です。この先、大量採用世代が退職する時期を迎えると、ゼネコンでも一級建築士の需要が高まるといわれています。集合住宅や公共施設、商業施設といった大規模な案件に携われます。

住宅メーカー

主に戸建て住宅を販売するハウスメーカーも一級建築士の代表的な就職先です。ハウスメーカーによって特徴や仕様が異なるため、デザインの範囲は限定されるケースが多くなります。たとえば、いくつかのパターンからデザインを選び、オリジナリティを加味するといったイメージです。

都市開発

地方自治体で公務員として働くことも可能です。具体的な仕事の内容としては、地方自治体が企画する建築物の設計業務、地方自治体が所有する建築物の修繕やメンテナンスなどが挙げられます。公共の施設を利用する人が快適に過ごせる空間づくりを目指します。

建築士のキャリアアップの仕方

建築士としての技術を高める

顧客の満足度を高めるために、建築士は付加価値の高い提案をしなくてはなりません。また、予算を反映した設計力も求められるスキルです。技術的なスキル以外に、顧客や現場の職人との円滑なコミュニケーションも信頼度を高めるための大切な要素です。

ほかの資格を取得する

二級建築士の資格を取得しているのなら、まずは一級の合格を目指しましょう。建設業界で役立つ資格は多くあります。一級建築士よりさらに難関の構造設計一級建築士に合格すれば、高層マンションの設計を手掛けられるなど、飛躍的に業務の幅が広がります。民間資格のインテリアコーディネーターなども建築士の仕事に役立つはずです。

独立

経験を積んで建築士としての力量や営業力が備われば独立も可能です。独立すれば、あらゆる意思決定が自分でできるため、会議などで作業が中断されることもありません。仕事を得る難しさや責任の重さはありますが、将来はこんな建築士になりたいという明確な夢があるのなら、独立も視野に入れてみましょう。

転職

勤務先によりメインとなる業務内容が異なるため、新たな知識や技術の習得を目指して転職の道を選ぶのも1つの方法です。自分がより高めたい技能を明確にして転職すれば、ステップアップへとつながるはずです。大手ゼネコンやハウスメーカー、アトリエ系の設計事務所など、幅広い転職先があります。

建築士の海外進出

日本と様式の違う海外の建築物に興味がある人も多いでしょう。海外で活躍する日本人建築士も数多く存在します。たとえば、アメリカで働きたい場合には、建築実務試験(APE)を受験し、合格する必要があります。認定を受けた大学の建築課程を修了し、実務経験も受験資格に含まれるため、ハードルはかなり高めなようです。

まとめ

建築業界においても人材不足は例外でなく、今後さらに若い建築士の需要は高まると考えられています。建築物は何十年と残り続けるものですが、経年劣化は必ず起こります。人びとの安全を守るために、修繕や建て直しを担う建築士の役割はとても重要なものです。将来的にはさらにニーズが多様化すると予測されるため、自分がより関心と意欲を持って取り組める分野を把握することが大切です。

当記事に記載の数値や事実等に関しては、下記サイトの情報を基に作成しております

国土交通省建築行政に係る最近の動向(50ページ目)
https://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/content/001426295.pdf
職業情報提供サイト(日本版O-NET)
https://shigoto.mhlw.go.jp/User/Occupation/Detail/20
厚生労働省一般職業紹介状況
https://www.mhlw.go.jp/content/11602000/000726615.pdf
国土交通省令和3年一級建築士試験「設計製図の試験」の合格者を決定(3ページ)
https://www.mlit.go.jp/common/001446815.pdf

実際に働いている人の口コミをチェックしよう!

建築士として実際に働く方にアンケートをとり、 「キャリア・将来性」に対する満足度を5段階で評価してもらいました。
実際に働いている人の口コミを参考に、どんな仕事なのかイメージをつけましょう!
実際に働いている人の
建築士の「キャリア・将来性」の満足度
★★★☆☆ 3.3 (25件)

建築士の 「キャリア・将来性」の 口コミ一覧

全25件

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愛知県の40代男性

業務委託契約の事業主 / 550万円以上~600万円未満 / 大学卒

就職先:建築設計事務所

キャリア・将来性の満足度 ★★★☆☆ 3.0
  • 仕事の将来性

    なかなかわからない世の中の流れを感じていますので、この点数にしました。

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福岡県の30代後半男性

正社員 / 450万円以上~500万円未満 / 大学卒

就職先:建設会社

キャリア・将来性の満足度 ★★★★☆ 4.0
  • 仕事の将来性

    建設業界は、衣食住の重要事項のひとつです。人が建築物を拠点とする限り、仕事がなくなることはないと私は思っています。技術力の革新にも力を入れている業種です。研究の面でもまだまだ成長していく業種だと思います。

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東京都の30代前半男性

正社員 / 400万円以上~450万円未満 / 専門学校卒

就職先:建設会社

キャリア・将来性の満足度 ★★★★☆ 4.0
  • 仕事の将来性

    ライバル会社がいなく、業界ナンバーワンなので今後も需要のある職種だと思っている。

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東京都の40代男性

正社員 / 350万円以上~400万円未満 / 大学卒

就職先:建築設計事務所

キャリア・将来性の満足度 ★★★☆☆ 3.0
  • 仕事の将来性

    先程書いてしまいましたが、現在、構造設計技術者が減っており、現時点でも新規顧客が増える傾向にあり、将来性は悪くないと思います。 単純な計算はAIにとって変わられる部分もありますが、全体の構造設計をやるには時間が掛かると思われるため、まだまだ進んでも問題ない職業と思います。

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東京都の30代後半男性

正社員 / 400万円以上~450万円未満 / 専門学校卒

就職先:建築設計事務所

キャリア・将来性の満足度 ★★☆☆☆ 2.0
  • 仕事の将来性

    AIに淘汰されない設計者しか残らないと思います。 解析ソフトの入力さえできればゲーム感覚で進められてしまう怖さがあります。

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