グランドスタッフのキャリアアップの方法は？仕事の現状と将来性を解説！

グランドスタッフの現状について

グランドスタッフの業界の現状について

グランドスタッフは、空港でお客様の接客業務を行う人を指します。空港に利用する世界各国のお客様に接客をするため、英語をはじめとする語学力、体力、ホスピタリティなど多くのスキルや資質が求められますが、制服を着こなし颯爽と働く姿に憧れる方が多い職業です。グランドスタッフは、以前は航空会社で採用されていましたが、現在はグランドスタッフ業務を専門的に請け負う会社であるハンドリング会社に所属することが一般的です。人件費削減のため正社員での採用は減少し、契約社員として採用されることが多数です。新型コロナウイルスが蔓延する以前は、採用倍率は15倍から20倍と言われ、非常に人気の高い職業です。

グランドスタッフの業界が直面している課題について～フライト減～

新型コロナウイルス感染拡大により、2020年ごろから国際便、国内便ともに本数が大幅減となり、グランドスタッフの収入や仕事内容に大きな影響を及ぼしています。国内の大手航空会社である日本航空（JAL）は2020年度2866億円、全日空（ANA）は4046億円の赤字決算を発表しており、深刻さの度合いが見て取れます。グランドスタッフやキャビンアテンダントを含めた航空会社もしくはグループ会社の社員が働ける場所を確保するため、両企業は他業種への出向制度の運用に力を入れ、話題となりました。グランドスタッフやキャビンアテンダントが一時的に公共の機関や一般企業に出向をするこの制度では、コールセンターや市役所、医療機関など多岐に渡る勤務先があります。グランドスタッフの仕事に再び従事できる時期に備え、多くの社員が現在は別の職種で働いています。
また、外資系のエアラインでも、エアアジア・ジャパンが日本を撤退するなど、国内企業と同様に大きな損益を被っているのが現状です。このように、航空便の大幅な本数減により、多くのグランドスタッフが、本来の業務で力を発揮したくてもままならない状況が続いています。

グランドスタッフの将来性について

社会変化がもたらすグランドスタッフの需要の減少

近年、グランドスタッフの需要は減少している傾向にあります。理由として、ITの導入が進んでいるからです。例えば、インターネットでの航空券の予約や座席指定、発券不要のeチケット、2次元バーコードによる自動チェックイン、自動手荷物預かり機です。人費削減や業務効率化を主な目的としてIT化が進められており、グランドスタッフの手を煩わせずに搭乗できる場合が増加しています。

グランドスタッフの職場環境の変化について

フライトの本数が確保できない現在、グランドスタッフをはじめ、航空会社グループの社員の雇用を確保するために、JALとANAの両グループでは、前述のように他社への出向を積極的に行なっています。
出向先での仕事は、グランドスタッフとして培ったスキルを活かせる接客系から、これまでとまったく異なるIT系まで多種多様です。出向を機会にキャビンアテンダントが新たなスキルを獲得し、視野を広げることも期待されます。

グランドスタッフのキャリアのスタート～就職先～

ハンドリング会社

ハンドリング会社は、グランドスタッフが主に所属する就職先です。ハンドリング会社には、旅客の対応を専門に行っている旅客ハンドリング会社、航空機の誘導などの地上業務の運用を専門に行っているグランドハンドリング会社、その両方を行っている会社があります。またその中にも航空会社のグループとそうではない会社があります。このようにハンドリング会社は種類が多く、また空港によって参入している企業も異なっています。自分に合ったハンドリング会社を探してみると良いでしょう。

総代理店

総代理店とは、航空会社から空港支店の業務を請け負った会社です。総代理店契約といわれており、搭乗手続きなどのグランドスタッフの業務や航空機の地上誘導などの業務を請け負っており、地方空港や小規模の空港で多く取り組まれている形態です。地元の空港や地方の空港でグランドスタッフとして勤務したいという方に良いでしょう。

その他請負会社

ハンドリング会社や総代理手ではなく、航空会社のハンドリング業務を請け負っている会社もあります。空港関連の事業を幅広く請け負っており、総合的なサービスを行っている会社です。

グランドスタッフの海外進出

近年、グランドスタッフの業務を一部の派遣会社に任せている場合が増加しています。派遣で航空会社または航空会社のグループ会社で業務を行えることがあり、航空関係の派遣案件を持っている派遣会社に登録することも良いといえます。

グランドスタッフのキャリアアップの仕方

グランドスタッフとしての経験を積む

キャリアアップの方法として、グランドスタッフとしての経験を積むことがあげられます。グランドスタッフは、基本的にチーム単位で評価されるため、個人の実力を評価してもらうのが難しい傾向にあります。そのため、勤務年数が重要になります。基本的に、グランドスタッフはまずハンドリング会社等に契約社員として採用され、数年の経験を積むと正社員として働くことができ、給料もアップします。さらに年数を積むと現場責任者や重要な役職につける場合があり、その分給料が上がります。また、企業によっては後輩育成や人材育成を任せられたり、現場を離れてオフィスで管理や統括の仕事をしたりするケースもあり、給料アップが狙えます。

資格を取得する

グランドスタッフに必ず必要なTOEIC®や英検以外にも、もっていると有利な資格があります。例えば、耳の不自由な乗客とのコミュニケーションに役立つ「手話技能検定」や空港利用者数の多い「中国語検定」です。活躍の場を広げたいのであれば、取得しておくとよいでしょう。

独立

グランドスタッフとしての経験を生かし、独立して起業したり、フリーランスとして働くのもひとつの道です。例えば、エアラインスクールの講師やマナー講師などが代表例として挙げられます。このほかにも、語学力や対人スキルを発揮できる仕事で活躍できます。

転職

転職でキャリアアップを目指す場合、グランドスタッフとして航空業界のなかで別会社に移るケースと、別業界で新しくキャリアを築いていくケースがあります。別業界の場合、コミュニケーション能力や折衝能力が生かせる営業や販売、受付、秘書といった職種で活躍できるでしょう。

グランドスタッフの海外進出

国内エアラインや外資系のエアライン、ハンドリング会社の中には、日本国内で募集・採用を行い、海外の空港に派遣する場合、現地で労働許可を所有している日本人を対象に募集・採用を行っている場合があります。日本人の旅客への対応で活躍することが期待されているようです。国籍の異なるスタッフとともに柔軟性を持って乗務に取り組む必要があるため、ある程度国内で経験を積んでからチャレンジすることをおすすめします。

まとめ

世界や日本の各地で勤務できるグランドスタッフですが、世界的な情勢によってフライト数が減少し、空港の利用者数も減少している傾向にあります。今後、採用の活性化に備えて語学力を磨くなどの準備をしておくとよいでしょう。採用後は、担当業務の幅を広げることで社内でステップアップしたり、グランドスタッフならではのスキルや経験を生かして独立や他業種への転職なども視野に入れることができます。