テーマパークスタッフのキャリアアップの方法は？仕事の現状と将来性を解説！

現状について

テーマパークスタッフの現状について

レジャー施設業界は、2019年までは売上高が順調に伸びていました。新型コロナウイルス感染症の流行で大きく落ち込んだものの、感染状況が落ち着くと、テーマパークの売上も伸びる傾向があります。

経済産業省の「遊園地・テーマパークの動向（特定サービス産業動態統計速報）」によれば、2021年11 月の遊園地・テーマパークの売上高は 463億5700万円と、同年10月の292億7,800万円から大幅に増加しました。前年同月に比べても29.8％の増加です。

コロナ禍が収束して以前のように外出が気兼ねなくできる状態になれば、テーマパークにも客足が戻ることでしょう。

テーマパークスタッフの業界が直面している課題について～情勢の変化～

テーマパークスタッフの業界が直面している課題といえば、社会情勢の影響を受けやすいことです。
近年では、繰り返しやってくる新型コロナウイルス感染症の流行の波に翻弄されています。2020年以降は、新型コロナウイルス感染症の感染者が増えるたびに緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が発令されて、営業ができなくなったり、入場者が激減したりして、どのテーマパークでも一気に売上高が減少しました。

経済産業省の「特定サービス産業動態統計調査」の「遊園地・テーマパーク」によれば、2018年は7114億円、2019年は7184億円だった年間売上高は、コロナ禍後2020年には2638億円まで一気に落ち込みました。今後も感染状況がどう変化していくか、まだ予測しにくいといえるでしょう。

そのほかにも、娯楽産業は景気変動の影響も受けやすいものです。景気が悪くなると、住居費や食費、教育費などよりも娯楽費を先に削るのが一般的だからです。
さらに、少子高齢化が進んでいることも、テーマパークの客足の減少に繋がる恐れがあります。

テーマパークスタッフの将来性について

社会変化がもたらすテーマパークスタッフの需要の増加

厚生労働省の一般職業紹介状況（令和3年11月分）によると、テーマパークスタッフも含まれる「接客・給仕」の職業の有効求人倍率は2.29倍となっています。1人の求職者に対して2.29件の求人があり、現状では人手不足であることがうかがえます。

もし、テーマパーク業界がウィズコロナ時代を乗り越えて発展していった場合、今後少子高齢化がこのまま進むと、人手不足が深刻になると考えられます。外で働くことが多いテーマパークスタッフは、接客業の中でも比較的体力が求められますが、若い人材の確保がより困難になるかもしれません。

テーマパークスタッフの職場環境の変化について

テーマパークスタッフは、一般的に正社員が少ない傾向にあります。経済産業省の平成30年（2018年）特定サービス産業実態調査報告書によると、テーマパークにおける正社員の割合は16.0％です。パートやアルバイトが67.5％、臨時雇用者などもいます。

「東京ディズニーリゾート」を運営するオリエンタルランドでも、正社員は嘱託社員、出演者を合わせて全従業員の2割程度です。しかし同社では、人材確保や企業イメージ向上を目的に、非正規雇用の人たちも全員労働組合に入れるようにして職場環境の改善を図っています。

女性のテーマパークスタッフが活躍する場が増える？！

テーマパークスタッフは、もともと男性よりも女性が多い職場で、女性の割合は7割程度と言われています。すでに女性が活躍しやすい職場と言えそうですが、今後ますます女性の活躍は増えていきそうです。
というのも、業界大手のオリエンタルランド、ユニバーサルスタジオジャパン、東京ドームなどが、育休取得率の向上や取得後の職場復帰の支援など、女性の働きやすさの改善に力を入れているからです。また、管理職に占める女性の比率を高める取り組みも行われています。

テーマパークスタッフのキャリアのスタート～就職先～

テーマパーク

特定のテーマパークを経営している会社に、テーマパークスタッフとして就職します。地域密着型の小規模なところから、「東京ディズニーリゾート」や「ユニバーサルスタジオジャパン」のような有名で大規模なところまで千差万別です。

テーマパーク運営会社

ある特定のテーマパークということではなく、複数のテーマパークを経営し、運営する会社もあります。例えば、泉陽興業株式会社は、「よこはまコスモワールド」や「木更津キサラピア」などを展開しています。

こうした企業に入社してテーマパーク部門に配属されれば、テーマパークスタッフとしてのキャリアがスタートです。ただし、このような企業ではテーマパーク事業にとどまらず、外食事業など他にも事業を手掛けている場合もあります。必ずしもテーマパークスタッフになれるとは限りません。

施設のメンテナンス会社

テーマパークスタッフとは少し異なりますが、テーマパークに関係の深い仕事がしたいなら、メンテナンススタッフとして働くことも可能です。アトラクションを安全な状態に保つには、日ごろからのメンテナンスが欠かせません。アトラクションなどのメンテナンスを専門に請け負う会社に勤められるでしょう。

派遣会社

テーマパークスタッフには非正規雇用で働く人が多く、派遣会社から派遣されるケースも多々あります。希望するテーマパークで社員を募集していなくても、派遣社員を募集している場合があるので、派遣社員という形で働くことも検討できるでしょう。

テーマパークスタッフのキャリアアップの仕方

テーマパークスタッフとしての技術を高める

テーマパークスタッフは、特に資格がなくてもなれる職業です。テーマパークには多様な仕事があるため、自分の職務に関連する技術を高められます。例えば、来場者の案内がメインの仕事であれば、接客の技術を高めたり、外国人対応ができるように外国語を勉強したり、手話を勉強したりするとよいでしょう。

ほかの資格を取得する

海外からの旅行客の相手もできるよう、語学系の資格、例えばTOEIC、実用フランス語技能検定試験、中国語検定試験などを取得するのがおすすめです。聴覚障碍者に対して手話で接客する能力を身に着けるため、「手話技能検定」の取得を目指すのもよいでしょう。また、高齢者や身体障碍者への接客には、「サービス介助士」の取得が役立ちます。

独立

テーマパークスタッフにはさまざまな仕事があり、中には独立を目指せる職種もあります。例えば、ショーやパレードに出演するダンサーやテーマパーク内を撮影するカメラマンなどは、独立してフリーランスとして活躍できる可能性があるでしょう。

転職

今までテーマパークで働いた経験を生かして、異なるテーマパークのスタッフに転職することも可能です。非正規雇用者から正社員になったり、業界上位の大規模企業で勤務したりすることを目指せるかもしれません。ただし、採用の際には相応の職務経験と実力が求められるでしょう。

テーマパークスタッフの海外進出

海外のテーマパークで働きたいのであれば、語学の勉強に力を入れ、海外求人を専門に扱うウェブサイトを普段からチェックするように心がけましょう。ただし現時点では（2022年1月）、新型コロナウイルス感染症の世界的な流行により、海外に渡航して現地で働くのは難しい状況です。

まとめ

テーマパークスタッフが働くレジャー施設業界は、2019年までは順調に成長していましたが、2020年以降は新型コロナウイルス感染症の流行により、休業や入場制限を余儀なくされて、どの企業も経営状況が悪化しています。

なお、テーマパークスタッフは、特に資格がなくても職に就けますが、キャリアアップしたいのであれば、資格を取得するなどして接客の技術を磨くとよいでしょう。