理容師の平均年収はいくら？具体的な金額や年収アップのポイントを解説！

理容師の平均年収は？

全業種・業種毎の平均年収との比較

理容師・美容師の全国的な平均年収は、329万円となっています。これに対して、国税庁によって調査された令和2年の全業種の平均年収はおよそ433万円といわれています。
このように比較してみると理容師の年収は非常に低いことがわかります。全業種と比較してみても100万円以上も下回り、329万円という年収では経済的に困りやすいことも懸念されるのが特徴です。
一般的に理容師という職業は薄給・低収入といったイメージが強いことでも知られますが、実際にその結果はデータでも実証されており、多くの人から求められる職種でありながら収入の面では夢がないと言わざるを得ないのが現状です。
もちろんこれは平均として算出されているデータなので、理容師として活躍している人全員がこの年収というわけではありません。本人のキャリアや店舗の規模、地域などによって変わることは想定されます。しかしそれでも決して高収入が望める仕事とはいいがたく、働きに見合った給料が提供されていない現状があるのも事実として指摘できるでしょう。理容師を目指す際には、このような給料の実態をあらかじめ理解したうえで、キャリアアップして年収を高めるにはどうすれば良いのか常に模索していくことが重要と考えられます。

理容師の平均年収が低い理由は？？

理容師の平均年収は一般的な水準と比べて低い傾向にあるのが特徴です。その大きな理由としては、店舗経営における経費が大きく、従業員に十分な給料を支払えないことが挙げられるでしょう。理容師が務める理髪店やサロンを運営していくためには、賃料や光熱費、その他設備、広告費などの費用が多くかかるとされます。そこにプラスして店舗間の価格競争は激化しており、多くの店舗は安い費用でメニューを提供しています。このような状況から理容師には高い給料が支払われにくく、薄給といえる状態は常態化していると考えられるのです。また、そもそも一人前の理容師として店に立つまでには時間がかかることが、年収が低くなる原因にかかわっている可能性も高いです。下積み中の理容師は一人前の理容師よりもアルバイト程度の低賃金になるため、年収の平均を下げていることが考えられるでしょう。

理容師の雇用形態別(正規・非正規・パート・アルバイト）の給与比較

理容師の給料は、雇用形態でも違いがみられることが多いです。求人ボックスのデータによれば、正社員の理容師は平均年収368万円となっています。上で触れた平均年収よりは少し高くなっているものの、それでも全業種の平均年収と比較するとかなり低いほうにあたるのは変わりありません。続いてアルバイト・パートの平均時給は998円となっており、最低時給は850円程度、最高時給は1140円程度が相場です。一方で派遣社員の場合は平均時給が1525円、最低時給は1153円程度、最高時給は1818円程度となっています。正社員についてはおおよそ年収の幅が262万円～524万円であり、あまり大きな幅が見られないことから、残念ながら理容師の給料はキャリアによってもそこまで差が生まれないことがわかります。

理容師の勤務先別（規模）の給与比較

理容師の平均年収は、企業の規模ではそこまで大きな変化が見られないのが特徴です。ただそんななかでもわずかに上をいったのは従業員1000人以上の企業であり、例えば全国的に店舗を経営する大企業の店舗に理容師として就職できれば、キャリアの積み方次第で平均以上の年収が望める可能性もあります。大企業であれば、個人経営の店舗と比較して、福利厚生がしっかりしているなどの利点も挙げられます。
※表のデータは「理容、美容師」のものであり、美容師のデータも含まれています。

理容師の勤務先別（規模別）の給料比較

理容師の年齢・性別の給与比較

理容師の平均年収は、年齢や性別で分けてみると下記のようになります。

このように見ると理容師の平均年収は、30代になってきてようやく400万円代が望めるようになり、40代後半からはまた下がっていく傾向が確認できます。それでも全業種の平均年収と比較すると、どの年代も薄給と言わざるを得ないのは事実でしょう。ちなみに20代前半は、多くが専門学校を卒業したての新人になるためまだ下積みのアシスタントであることが考えられ、アルバイトほどの給料であることがわかります。また、下記の男女別の年収の平均を見ると、女性はさらに年収が下がり、300万円を下回ってしまう結果となっています。

理容師の年齢別の給料比較

理容師の男女別の給料比較

将来、給料を上げるには？！

経験を積む

給料アップを目指すためのポイントとして重要なのは、やはり理容師として経験を少しでも多く重ねることです。理容師は経験を積めば積むほどカットやシェービングの実力が磨かれることが考えられ、店舗を回していくためのリーダーシップ、状況判断能力なども備わってくるでしょう。そこでチーフを任せられることになれば、手当がつくことで給料アップが望めます。店舗で多くのスタッフから信頼される理容師になれば、周りから頼りにされていることが評価に良い影響を及ぼし、昇給につながることも考えられるでしょう。こういった能力は一朝一夕で身に付くものではないため、ひたすら経験を積むことが重要といえます。

指名を増やす

理容師にとって指名をもらうことは、自分の顧客を増やすことです。そして指名を受けられる顧客が増えていけば、その分指名料によるインセンティブのような手当を受け取ることが可能になります。給料アップを目指すなら、指名をたくさんもらうことを目標にすることも大切です。しかし指名をもらうことは簡単にできることではないため、それ相応の技術と営業努力が必要になります。お客様の要望にしっかりと耳を傾けたうえで、その要望をかたちにできる技術力を持つことが大切です。また、こまめな営業努力も欠かさないようにしましょう。

理容室を独立開業する

理容師の年収が30代～40代あたりで少し高くなっているのは、独立開業する理容師がいるため…という点も考えられるでしょう。理容師は独立できる可能性を持つ職業なので、経営がうまくいけば、もちろん平均以上の年収を望むことも可能になってきます。そのため本格的に年収アップを意識するなら、独立開業することも視野に入れていきましょう。しかしそうはいっても独立も簡単にできるわけではないため、経営を勉強したり数多くの顧客を抱えられるようにコミュニケーションスキルを高めたりなど、地道な努力は必要です。独立することを視野に入れるなら、できるだけ早めに準備を始めていきたいところです。

まとめ

理容師の給料は残念ながら高水準とはいいがたいものとなっており、その額は全業種の平均年収を下回るほどです。そのため理容師の仕事に就く際には、この現状をよく理解したうえでキャリアアップのプランを戦略的に設計していく必要があります。技術力をひたすら磨いて多くのお客様から指名をもらうこと、もしくは将来的に独立することなども視野に入れて、給料アップという成果につなげていきたいところです。薄給になりやすいという難点は指摘されますが、理容師には技術力を極めてお客様のヘアカットに貢献できるという魅力があり、たくさんのお客様に喜んでもらえるという点においてやりがいを見いだせることもあります。あらかじめキャリアアップのプランはしっかりと考えたうえで、自分にとって満足できる理容師としての働き方を模索していきましょう。