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介護福祉士のキャリアアップの方法は?仕事の現状と将来性を解説!

2022年03月01日

はじめに

この記事では近年非常に需要が高まっている介護福祉士を取り巻く環境や今後展望をご紹介します。また介護福祉士になった際に、どこでどのような働き方をするのか、そしてどのようなキャリアを歩んでいくことになるのかについても触れるので、ご興味がある方はぜひご参照ください。

介護福祉士の現状(課題)

「超高齢社会」に突入した日本において、介護福祉士を取り巻く環境は日々変化しています。ここでは介護現場の現状や介護福祉士が直面する課題についてご紹介します。

深刻な人手不足

まずは介護人材の深刻な人手不足です。日本では総人口が減少を続ける一方で、65歳以上の高齢者の人口は増加の一途を辿り、2021年9月の推計では過去最高の3640万人を記録しました。総人口に占める割合は29.1%となり、世界で最も高齢化が進んでいる国となっています。こうした背景があり、介護を必要とする人口も増加し、介護ニーズの急激な高まりから介護人材の人手不足が深刻化しています。厚生労働省は2023年までに約233万人の介護職員が必要だと推計していますが、2019年時点での実際の介護職員数は約210万人となっている状況です。ちなみに同時点での介護または支援を必要とする要介護(支援)認定者数は約667万人です。

人材の定着

より専門性の高い介護人材の定着もまた課題の一つです。公益財団法人介護労働安定センターの令和2年度介護労働実態調査によると、訪問介護員と介護職員の離職率は過去最低の14.9%でした。同年の全産業平均離職率は14.2%(厚生労働省 令和2年雇用動向調査)だったため、介護人材の離職率が特別高いわけではありません。しかし、介護の現場を離れてしまう人材も一定数おり、人手不足が深刻化している中で人材の定着も介護の現場における課題の一つといえそうです。

介護福祉士の将来性

取り巻く環境が絶え間なく変化し、様々な課題に直面する介護福祉士ですが、将来性はどのようになっているのでしょうか。

需要の継続的な増加

現状及び課題の部分でご紹介したように、今後も介護人材の人手不足は続いていく見込みです。厚生労働省の一般職業紹介状況(令和3年8月分)によると、社会福祉の専門的職業の有効求人倍率は2.90倍、介護サービス職は3.63倍となっています。有効求人倍率とは1人の求職者に対してどれだけ求人があるかを指す指標です。このことからも介護人材の不足が見て取れます。今後も高齢人口の増加に伴い、介護人材の需要はますます高まっていくため、介護福祉士のような国家資格を持っていればより良い条件での就業が可能だと考えられます。

待遇改善

以前から介護職の待遇はその重労働に見合わないという声がありました。また待遇が悪ければ、当然人は離れて行ってしまいます。そこでここ数年で日本政府は介護人材の定着を目的とした、待遇改善のための政策(補助金等)を実施しています。厚生労働省の調査によると、令和2年現在、83.4%もの施設・事業所(調査対象のうち)が政府の政策を受けて「給与等を引き上げた」、もしくは「1年以内に引き上げる予定」だとしています。また2021年9月29日の総裁選に勝利し、後に内閣総理大臣に就任した岸田文雄新総裁は介護職の賃上げに取り組む意向を表明しました。こうした背景を踏まえ、介護福祉士を含む介護従事者の給与等の待遇は改善が続けられていくと考えられます。

介護福祉士のキャリア~勤務先と勤務形態~

別の記事でも紹介したように、介護福祉士の活躍の場は多岐に渡っています。ここでは主要な勤務先とそこでの勤務形態についていくつかご紹介します。

介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)(特養)

介護老人福祉施設とは、介護を必要とする方が利用できる公的な施設です。入所の条件が原則要介護度3~5の高齢者となっており、寝たきりなどの重度な方や緊急性の高い方など、比較的多くの介護を必要とする方のための施設となっています。また入所期限がないのも特徴です。介護老人福祉施設には他の医療スタッフやリハビリ専門スタッフもいるため、介護福祉士はその他のスタッフと連携して利用者の日常のお世話を行います。勤務形態は施設によって異なりますが、多くの場合で24時間体制のシフト勤務となっています。

介護老人保健施設

介護老人保健施設とは、介護を必要とする方が利用できる公的な施設で、「老健」とも呼ばれます。老健の入所条件は要介護1~5の方で、3~6か月程度の入所期限があります。そのため老健の介護福祉士は利用者の在宅復帰のサポートをするというのが主な役目となります。介護老人福祉施設と同様に他の医療系、リハビリ系のスタッフもおり、他のスタッフと連携して利用者の在宅復帰を目指していきます。勤務形態は施設によって異なりますが、多くの場合で24時間体制のシフト勤務となっています。

訪問介護事業所

訪問介護事業所とは上記の介護施設とは異なり、介護職員が利用者の自宅を訪問して必要な介護を行うための事業所です。そのため、訪問介護では利用者の方と1対1の関係を築いて介護を行うという特徴があります。勤務形態は多様で、常勤の他にパートや登録制などで自分の好きな時間に働くということも比較的しやすい環境です。また夜間訪問を行う事業所等を除いて特養や老健のような夜勤は多くありません。

通所介護事業所

通所介護事業所とは、自宅に住む要介護状態の利用者が日中に通い、基本的に日帰りで介護サービスを利用する事業所です。一般的にデイサービスとして広く知られています。デイサービスは、在宅で介護を受ける利用者にとって貴重な社会参加の機会となると同時に、その家族の負担も軽減するという、在宅介護において非常に重要な役割を果たしています。通所介護事業所には様々な形態があるため、その勤務形態も多岐に渡っています。

介護福祉士のキャリア~キャリアアップ~

介護の現場において重要な役割を担っている介護福祉士ですが、無事に資格を取得した後にはどのようなキャリアアップが可能なのでしょうか。ここではいくつかの主要なキャリアアップについてご紹介します。

認定介護福祉士

認定介護福祉士とは、介護サービス利用者のニーズの多様化や介護福祉士に求められる役割が幅広くなってきたことを受けて、介護福祉士のキャリアップのためにつくられた民間資格です。介護福祉士の上位資格という位置づけになり、介護現場におけるプロフェッショナルといえるでしょう。認定介護福祉士になるためには、
① 介護福祉士としての実務経験が5年以上
② 認定介護福祉士養成研修Ⅰ類及びⅡ類を受講すること 
の2点が必要となります。介護福祉士のように試験はありませんが、それなりの時間や経験が必要になります。介護福祉士の上位資格という位置づけではありますが、資格ができてから日が浅く、実際の取得者が少ないことから待遇面で大きな違いがないというのが実状となります。とはいうものの、認定介護福祉士が持つ経験や知識は疑いの余地がないため、今後はその地位や待遇の改善が期待されます。

ケアマネージャー(介護支援専門員)

ケアマネージャーとは、介護サービスの利用者が適切な介護を受けられるようにケアプランを作成したり、利用者やそのご家族の相談に乗り事業者との橋渡しをしたりする専門家です。介護サービスは介護保険制度に則って提供されますが、ケアマネージャーは幅広くそのマネジメントを行います。ケアマネージャーになるには、介護支援専門員実務研修受講試験を受験し合格する必要があります。また受験資格として、介護福祉士や看護師等の特定の国家資格の業務、または生活相談員等の業務に「5年以上かつ、900日以上従事」することが求められます。また別の記事で紹介したように介護福祉士の国家試験の合格率が約7割ほどであるのに対し、介護支援専門員実務研修受講試験の合格率は17.7%(最新の令和2年度第23回試験)となっています。ケアマネージャーになるのはハードルが高いようにも感じるかもしれませんが、その分介護の根幹を担うことができ、介護福祉士からのキャリアアップとして良い選択肢の1つといえそうです。

施設のマネジメント職

施設のマネジメント職とは、その名の通り特養や老健などの介護施設の施設長やホーム長のことです。仕事内容は介護業務のみならず、人員配置や収支など施設の経営全般に関わるものになります。その施設の最終的な責任を負うことになるので、大変な仕事ですがその分やりがいも大きいでしょう。マネジメント職になるには、「○年以上の実務経験」や「○○講習の受講」など、その施設が定める要件を満たす必要があります。責任の大きさに伴い待遇も良くなるため、介護業務だけでなく現場のマネジメントにも興味がある方には魅力的なキャリアアップの選択肢になるのではないでしょうか。

まとめ

介護福祉士の現状や将来性、またキャリアについてご紹介しました。超高齢社会の日本において、介護福祉士をはじめ介護従事者は今後も社会に強く求められる職業です。したがって、現在介護従事者、そして日本社会が直面している人手不足や待遇の不満などの課題は今後解決されていくことが期待されます。
 また介護福祉士のキャリアについても、より働きやすい環境の整備や魅力的なキャリアパスの構築に目下政府をはじめとして取り組んでいる状況です。「人(社会)のために立ちたい」と考える人にとって魅力的な職業なのではないでしょうか。

当記事に記載の数値や事実等に関しては、下記サイトの情報を基に作成しております

公益財団法人介護労働安定センター『令和2年度「介護労働実態調査」結果の概要について』
http://www.kaigo-center.or.jp/report/pdf/2021r01_chousa_kekka_gaiyou_0823.pdf
厚生労働省『第8期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について』
https://www.mhlw.go.jp/content/12004000/000804129.pdf
厚生労働省『介護職員数の推移』
https://www.mhlw.go.jp/content/12004000/000804139.pdf
厚生労働省『令和2年雇用動向調査結果の概要』
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/koyou/doukou/21-2/dl/gaikyou.pdf
厚生労働省『一般職業紹介状況(令和3年8月分)』
https://www.mhlw.go.jp/content/11602000/000835254.pdf
厚生労働省『令和2年度介護従事者処遇状況等調査結果』
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kaigo/jyujisya/20/dl/r02kekka.pdf
厚生労働省『第23回介護支援専門員実務研修受講試験の実施状況について』
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000187425_00007.html

実際に働いている人の口コミをチェックしよう!

介護福祉士として実際に働く方にアンケートをとり、 「キャリア・将来性」に対する満足度を5段階で評価してもらいました。
実際に働いている人の口コミを参考に、どんな仕事なのかイメージをつけましょう!
実際に働いている人の
介護福祉士の「キャリア・将来性」の満足度
★★★☆☆ 3.1 (645件)

介護福祉士の 「キャリア・将来性」の 口コミ一覧

全645件

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愛知県の30代前半女性

正社員 / 200万円以上~250万円未満 / 専門学校卒

就職先:介護・福祉施設

キャリア・将来性の満足度 ★★★☆☆ 3.0
  • 仕事の将来性

    介護業界は高齢化なので安定しているので、そんなに不安なんことはない

  • 女性の働きやすさ

    介護業界は女性に職場でいても看護ではないので、女性はか活躍している

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沖縄県の20代後半女性

契約社員 / 250万円以上~300万円未満 / 高卒

就職先:介護・福祉施設

キャリア・将来性の満足度 ★★☆☆☆ 2.0
  • 仕事の将来性

    今後患者さんの人数が減っていなくなったら今の施設はどうなってしまうのか

  • 女性の働きやすさ

    業界全体で働きやすい環境だとおもいます、問題ないです働きやすい

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新潟県の40代男性

正社員 / 250万円以上~300万円未満 / 高卒

就職先:介護・福祉施設

キャリア・将来性の満足度 ★★★★☆ 4.0
  • 仕事の将来性

    これから年寄りがたくさん増えるので、潰れはしないが、大変な仕事で人気がない

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大阪府の40代男性

正社員 / 500万円以上~550万円未満 / 高卒

就職先:介護・福祉施設

キャリア・将来性の満足度 ★★☆☆☆ 2.0
  • 仕事の将来性

    現在の給与水準の維持が可能かどうか、業界の現状も考え不安があるから。

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岐阜県の40代男性

正社員 / 150万円以上~200万円未満 / 高卒

就職先:介護・福祉施設

キャリア・将来性の満足度 ★★★☆☆ 3.0
  • 仕事の将来性

    正直考えたことがなかったけど時代の変化についていけていないのでなんとなくそう思った

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