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視能訓練士に必要な資格とは?取得するメリットを解説!

2022年03月01日

はじめに

「視能訓練士」は、名称こそ有名ではありませんが、合格率が高めの国家資格です。眼科検査などの際、知らず知らずのうちに接したことがある方も多いでしょう。この記事では「視能訓練士」の概要や資格取得の方法や難易度などについて紹介しています。

どんな資格?視能訓練士の資格概要

目の健康を守る「視能訓練士」

視能訓練士とは、子どもから高齢者までの目の健康を守る国家資格です。視能訓練士は眼科領域の医療従事者であり、視機能検査や視能矯正の業務にあたります。目の不調にも斜視や弱視、近視や遠視、視野の一部が欠けて見える、色覚異常など症状はさまざま。視能訓練士は検査機器を用い、それらを検査するのが主な業務です。基本的に眼科医は、視能訓練士の診断を元に治療法を検討します。視能訓練士の業務を大別すると、視能矯正、視機能検査、検診業務、ロービジョンケアの4つがあります。
視能矯正は、小児の弱視や斜視に対しての訓練を行います。視機能検査は、視力検査、屈折検査、コンタクトレンズ検査などを行います。健診業務は、学校や特定の施設で集団健診を行います。子どもから高齢者まで接する年齢層の多い仕事です。ロービジョンケアのロービジョンとは、病気やけがにより目の機能が悪くなっている状態です。ロービジョンでも通常の生活が遅れるように補助具(拡大鏡や単眼鏡)の選定や視覚リハビリ施設との連携など、状況に応じて支援を行います。

視能訓練士の成り立ち

視能訓練士の資格制度が始まったのは1971年です。当時は小児の弱視や斜視の予防、問題があった際の視能矯正が業務でした。
1980年頃から日本でも眼科医療や検査機器が飛躍的に進歩し、より高度な専門性が求められるようになります。その流れを受けて、1993年に視能訓練士法が改正されました。それにより視能訓練士は医師の指示のもと視能検査や視能訓練の権限が付与されました。
現代では、スマートフォンやタブレットなどに触れる機会が多いため、目を酷使することが増えています。近年需要が高まっている職種と言えるでしょう。

視能訓練士の国家試験概要と取得難易度

視能訓練士の国家試験概要

実施日

視能訓練士の国家試験は毎年2月の中旬から下旬ごろ、年1回実施されます。

試験内容

基礎医学大要、基礎視能矯正学、視能検査学、視能障害学及び視能訓練学の計5科目を受験する必要があります。

形式

およそ150問の問題に対して5択のマークシート形式で行われます。

開催地

試験地は東京都及び大阪府です。令和4年は立教大学池袋キャンパスと大阪商業大学で開催されました。

料金

受験手数料は15,800円です。収入印紙を受験願書に貼って納付します。

注意事項

誰でも国家試験を受けられるわけではありません。受験資格の取得方法については後述しますが、詳細は必ず厚生労働省のサイトで確認してください。

視能訓練士国家資格の取得難易度~合格率は90%以上?!~

視能訓練士の国家試験の合格率は90%以上です。2017年から2021年の過去5年間のデータでみると、受験者全体の平均で合格率95.2%でした。また新卒者のみの合格率は97.2%です。2021年の全体合格率は91.1%でしたが、2019年の全体合格率は98.2%と、年によっても難しさに多少の差異はあるようです。ただし、ここ5年は90%以上と高い水準を維持しています。なお、先述の5年間の受験者数の平均は853名でした。

試験は一般問題が1問1点で129点満点、臨床問題が1問2点で40点満点の合計169点満点です。169点中102点以上で合格ですので、正答率60%以上で合格です。科目ごとで基準があるわけではないので、しっかり準備して得意な内容で確実に点数を取れれば、合格は比較的難しくないでしょう。

なぜ取得するの?視能訓練士の資格を取得するメリット

メリット①国家資格であること

視能訓練士は国家資格であり、指定された養成学校や大学の養成課程を通過しなければ取得することができません。国家資格なので眼科医療の分野で専門的な知識やスキルを所有していることを国から認められたという点で、社会的信頼につながります。また一度取得すれば一生涯にわたって有効ですし、業務の経験を積むことにより着実なキャリア形成が可能です。女性の場合、出産時に休職してもまた現場に戻りやすいといえるでしょう。視能訓練士は眼科医を支える業務ですので、勤め先はおよそ62%が私立系医療機関(眼科診療所、私立病院)、33%が国公立系医療機関(公立医療機関、公立に準ずる病院または診療所、国立大学または病院など)です。

メリット②患者の生活が良くなっていく姿が見られる

自分の仕事によって患者の症状が改善されて喜んでいる姿が見られるのもメリットです。目の不調は生活全般に支障をきたし、不安になる患者も多いでしょう。
また視能訓練士は、患者と直接かかわることも多い仕事です。幅広い年齢層の人と触れ、コミュニケーション力の向上や人間的な成長も見込めます。やりがいのある仕事といえるでしょう。

メリット③残業が少ない。夜勤がない。

視能訓練士は他業種と比べ残業が少ない職種です。病院などの診療時間がおよその業務時間のため、定時で帰宅できることも多いでしょう。
また、夜勤がほとんどないのもメリットです。よほど緊急でもなければ夜間救急に目の診療を受ける人は少ないため、視能訓練士は他の医療従事者に比べて圧倒的に夜勤が少ないのです。
夜勤や残業が少ないと生活リズムが安定し、精神衛生上もよいでしょう。また定時帰宅により家事などの時間もとれます。

メリット④仕事がマンネリ化しない

業務内容がマンネリ化しないのも視能訓練士のメリットです。目の悩みを持っている患者は一人ひとり異なる問題を抱えています。一口に目の不調といっても、視力、視野、色覚、光覚、眼圧など種類は実にさまざま。
それぞれの患者は年齢も性格も症状も異なります。よって患者にマッチしたコミュニケーションや訓練方法を選ばなければなりません。業務がマンネリ化しやすい職種では、自身の成長や力量アップを感じにくいですが、視能訓練士は日々精進が必要です。そのため、向上心と誇りを持って取り組める仕事といえるでしょう。

どうやって取得するの?視能訓練士の資格を取得する方法

視能訓練士の資格を取得するまでの流れ

まず、国家試験の受験資格が必要です。受験資格を国内で取得するには、大きく分けると2つのルートがあります。

1つ目は高校卒業後、指定された視能訓練士養成専門学校(3年)か、視能訓練士養成課程のある4年制の大学に入学します。これらの視能訓練士養成校では、視能矯正学や生理光学、視覚生理学など関連分野の座学や実習があります。養成所によっては、ゼミ形式の授業を取り入れているところもあります。
2つ目は大学や短大または看護師養成施設で指定科目を履修します。指定科目とは、外国語、心理学、保健体育、生物学、物理学、数学などの必須科目と、教育学、精神衛生学などの選択科目です。その後、文部科学大臣または厚生労働大臣指定の視能訓練士養成施設で1年以上必要な知識や技術を修得することで受験資格が得られます。

視能訓練士を受験するためには、3月15日までに(令和4年の場合)修業もしくは卒業見込みである必要があります。願書は10月下旬頃から配布されはじめ、受付期間は12月中旬頃から1月上旬頃です。試験は毎年2月中旬頃から下旬頃に行われており、合格発表が3月下旬頃です。厚生労働省ホームページにある資格・試験情報のページにて合格者の受験番号が発表されます。合格していれば免許の申請が行えます。

視能訓練士の資格を取得するための一般的なルート

視能訓練士になる際の一般的なルートは専門学校です。実際、厚生労働省の調査した「この職業で実際に働いている人が多いと感じる学歴」は68.4%が専門学校卒業、大卒が54.4%、短大卒が13.9%でした。合計すると100%を超えているのは、先述したルートによっては大学と専門学校(養成施設)の両方を通過するためであると考えられます。

まとめ

視能訓練士は生涯にわたって効力を持つ国家資格であり、残業や夜勤が少ないのが特徴です。国家試験合格者数は2019年3月末時点で、累計16,199名でした。
今後高齢化が進むにつれて、目に支障をきたす人は増えていくでしょう。幼少期からスマートフォンやタブレット、パソコン画面を見ることが普通になった昨今、ますます視能訓練士の需要は高まると考えられます。
視能訓練士を目指すなら、高校卒業後に全国に30校ほどある視能訓練士養成の専門学校や大学に入って学ぶのが一般的です。情報を集め、将来の職業候補として検討するのはいかがでしょうか。

当記事に記載の数値や事実等に関しては、下記サイトの情報を基に作成しております

神戸市立西神戸医療センターHP
http://nmc.kcho.jp/nishikobe/voice023/
視能訓練士教育の見直しについて
https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/000826744.pdf
厚生労働省視能訓練士国家試験の施行
https://www.mhlw.go.jp/kouseiroudoushou/shikaku_shiken/shinoukunrenshi/
厚生労働省視能訓練士国家試験の合格発表について
https://www.mhlw.go.jp/general/sikaku/successlist/2021/siken10/about.html
厚生労働省視能訓練士国家試験の合格発表について
https://www.mhlw.go.jp/general/sikaku/successlist/2020/siken10/about.html
厚生労働省視能訓練士国家試験の合格発表について
https://www.mhlw.go.jp/general/sikaku/successlist/2019/siken10/about.html
厚生労働省視能訓練士国家試験の合格発表について
https://www.mhlw.go.jp/general/sikaku/successlist/2018/siken10/about.html
厚生労働省視能訓練士国家試験の合格発表について
https://www.mhlw.go.jp/general/sikaku/successlist/2017/siken10/about.html
職業情報提供サイト視能訓練士
https://shigoto.mhlw.go.jp/User/Occupation/Detail/170
日本視能訓練士協会HP
https://www.jaco.or.jp/ippan/about/
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