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言語聴覚士のキャリアアップの方法は?仕事の現状と将来性を解説!

2022年03月01日

はじめに

人の悩みを聞き、寄り添うことができるのが言語聴覚士の魅力です。では国家資格取得や就職の先にどんなキャリアを描くことができるのでしょうか。言語聴覚士のキャリアについて、一度しっかりと考えてみたい方はぜひ参考にしてみてください。

現状について

言語聴覚士の現状について

1997年言語聴覚士法が公布されたことにより、言語聴覚士という国家資格が誕生しました。同じリハビリテーション専門職である理学療法士や作業療法士が、何十年も前に誕生していたことと比較しても、言語聴覚士の歴史はまだ浅く、一般的な知名度も高いとはいえません。発展途上であるが故に、人材不足など業界特有の課題もある一方、これから高齢化社会が加速するにつれ需要度が高まっていくことで、無限の可能性を秘めている職業でもあります。現状だけ見て判断せず、言語聴覚士の将来性を見込んで、国家資格の取得について一考してみてください。

言語聴覚士の業界が直面している課題について~人材不足~

言語聴覚士の業界の課題である人材不足について、2つの側面から説明します。まず、言語聴覚士を必要としている施設の約6割で人材が足りていないといわれ、これらの施設では必要なリハビリテーションを十分に受けられない患者がいます。そのため、勤務している言語聴覚士は多くの仕事に追われて新しい知識や技術を学ぶ余裕がなかったり、同僚とのコミュニケーション不足による知識・経験を吸収しにくかったりするなどの課題があるところも存在します。次に、女性が多く勤務しているゆえに人材不足に陥りやすい点です。言語聴覚士の7割が女性であるため、出産のタイミングで休暇を取得したり、育児をしたりしながら働いている人も決して珍しくありません。育児と仕事を両立させる大変さはもちろんのこと、子どもが急に熱を出したり病気したりした際に勤務を代わってくれる人を探したり、産休中には臨時職員を雇ったりするといった対応の難しさが常について回ります。今後は、研修制度や人材育成の充実や、女性も働きやすい職場環境を整えることがより求められるでしょう。

言語聴覚士の将来性について

社会変化がもたらす言語聴覚士需要の増加

言語聴覚士を必要としている施設や患者の数に対して、圧倒的に人材が不足しているのが現状です。言語聴覚士の業務領域である「話す・聞く・食べる」は、全ての医療とリハビリテーションの基本であり、入り口でもあります。また、超高齢化社会を迎えて増加し続ける高齢者だけではなく、事故や病気によって障害を抱えている人々も言語聴覚士のサポートの対象です。そのため今後、言語聴覚士の需要がなくなってしまうとは考えづらく、むしろ医療の進歩しより長く生きられる社会にとっては需要が増加していくとみられます。

言語聴覚士の職場環境の変化について

近年、慢性的に不足している言語聴覚士を確保するために、言語聴覚士を取り巻く職場環境や待遇改善に努めている施設は少なくありません。しかし、これらの取り組みは施設によって大きく差があるためよく確認しておく必要があります。言語聴覚士の業界では、一般的に勤務先の規模が大きい方が給与や福利厚生が充実している傾向があります。また地域別に比較すると、地方よりも都市部のほうが待遇がよいケースも多くみられます。就職の際には勤務先の規模や地域を参考に、それぞれの職場環境をよく精査して決めることをおすすめします。

女性の言語聴覚士が活躍する場が増える?!

言語聴覚士は男性よりも、女性で活躍している人が圧倒的に多い職業です。リハビリテーション専門職の中でも力仕事が少なく、座り仕事が多いため身体への負担が少ないこと、また「人の悩みを聞き、寄り添う」という言語聴覚士の特性が女性の持つこまやかさなどに合っていることが理由に挙げられます。また、言語聴覚士として働くには国家資格が必要不可欠ですが、逆にいえば資格があればいつでも仕事に復帰することができるということです。出産・子育てなどでライフスタイルが変化しやすい女性にとって、将来像を柔軟に描けて働きやすい職業だといえるでしょう。

言語聴覚士のキャリアのスタート~就職先~

医療機関

日本言語聴覚士協会によると、言語聴覚士の約7割が医療機関に就職しています。脳卒中などの病気によって言語障害がともなった時や急性の障害が発生した時に速やかにリハビリテーションを行えるよう言語聴覚士を配置する医療機関が多くあります。言語聴覚士はチーム医療の一員となって、患者の回復に向けてサポートを行います。

福祉施設

加齢によって「話す・聞く・食べる」がうまく動作できない高齢者に対して、訓練や介助を行います。これらの3つの要素は命をつなぐことはもちろん、人間の生きる喜びでもあり、まさに言語聴覚士の本懐といえるでしょう。リハビリテーションを通じて生きている喜びを思い出してもらうことも、言語聴覚士の大切な役割です。

教育機関

知的・発達障害、自閉症などにより、言葉をうまく話せない子どもたちに対して興味を促し「言葉の獲得」を手助けする役目があります。遊びやクイズなどの訓練を通じて、子どもたちの成長を見届けることはもちろん、家庭でできる訓練の指導や家族の精神的ケアなど、障害と向き合う本人と家族を包括的にサポートしていきます。

言語聴覚士のキャリアアップの仕方

言語聴覚士としての技術を高める

言語聴覚士は知識を常に更新して必要な技術を身につけることが大切です。言語聴覚士がサポートするのは自分の思いをうまく発話できない人々であり、正しい知識と技術がなければ患者の回復が遅れてしまうだけでなく、命に関わる危険性もあります。知識の吸収と経験の積み重ねていくことがキャリアアップに直結します。

ほかの資格を取得する

言語聴覚士の資格だけでも十分ではありますが、さらに深い知識と技術が得られる「認定言語聴覚士」を取得することで担当できる業務が広がるでしょう。この資格は摂食嚥下障害領域や聴覚障害領域などの専門分野でその知識や技術がエキスパートとして認められ、就職先によっては待遇アップも目指せます。

独立

言語聴覚士は国家資格を取得することで、独立・開業できる可能性があります。ただし、嚥下訓練や補聴器装用訓練などは医師の指示なく行うことができないため、業務の内容が一部制限されます。また、医師が不在だと保険請求ができないため、言語聴覚士のみで開業する場合は保険適用外施設、いわゆる自費診療のみの取り扱いとなります。

転職

言語聴覚士の職場環境や待遇は勤務先や地域によって大きく異なります。福利厚生などに不満がある、また仕事内容に魅力を感じない場合などは転職することも選択肢のひとつとなり得るでしょう。その際には、その施設がどのような姿勢で患者と向き合っているのかなど、就職後のビジョンがきちんと描ける職場を選ぶように心がけましょう。

言語聴覚士の海外進出

国によって制度が異なるため一概にはいえませんが、日本で研鑽した知識と技術を活かして海外で同等の資格を取得するなど活躍する方法はあります。例えばオーストラリアでは、大学や大学院の専用カリキュラムを修了し、一定の英語力があることが資格取得の条件です。海外でも言語聴覚士は不足しており、ニーズはあるといえます。

まとめ

技術革新や社会情勢の移り変わりによって、今後さまざまな職業が淘汰されるといわれる中、「話す・聞く・食べる」のスペシャリストである言語聴覚士の需要は高まっています。しかしながら、国家資格としての歴史が浅いために人手不足や職場環境の改善などの課題があることも事実です。言語聴覚士として成功するためには、国家資格取得とともにご自身のキャリア形成についてもしっかり考えておくことが賢明でしょう。

当記事に記載の数値や事実等に関しては、下記サイトの情報を基に作成しております

一般社団法人日本言語聴覚士協会
https://www.japanslht.or.jp/

実際に働いている人の口コミをチェックしよう!

言語聴覚士として実際に働く方にアンケートをとり、 「キャリア・将来性」に対する満足度を5段階で評価してもらいました。
実際に働いている人の口コミを参考に、どんな仕事なのかイメージをつけましょう!
実際に働いている人の
言語聴覚士の「キャリア・将来性」の満足度
★★★★☆ 3.6 (40件)

言語聴覚士の 「キャリア・将来性」の 口コミ一覧

全40件

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兵庫県の30代前半男性

正社員 / 350万円以上~400万円未満 / 専門学校卒

就職先:病院

キャリア・将来性の満足度 ★★☆☆☆ 2.0
  • 仕事の将来性

    将来はわからない。 将来性はないかなとおもう。やりがいせっしゅはやめてほしい

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静岡県の40代男性

正社員 / 350万円以上~400万円未満 / 大学卒

就職先:介護・福祉施設

キャリア・将来性の満足度 ★★☆☆☆ 2.0
  • 仕事の将来性

    医療技術が進歩すれば、今の仕事はなくなる可能性はあると考えている。将来性は低い。

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青森県の30代前半男性

正社員 / 450万円以上~500万円未満 / 専院

就職先:病院

キャリア・将来性の満足度 ★★★★★ 5.0
  • 仕事の将来性

    少子高齢化社会なのでこれから自分の職種はかなり需要があると感じていて将来性があると思うから。

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東京都の20代後半女性

契約社員 / 100万円未満 / 大学卒

就職先:病院

キャリア・将来性の満足度 ★★★★☆ 4.0
  • 仕事の将来性

    医療として、社会全体を支え、重要な役割を果たしたいと常々思っております。対処も良くして行きたいと思います。

  • 女性の働きやすさ

    全体的に働きやすい環境だと思います。また、スタッフも多く丁寧に対応させているので安心です。

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富山県の30代後半女性

正社員 / 350万円以上~400万円未満 / 大学卒

就職先:訪問看護ステーション

キャリア・将来性の満足度 ★★★★★ 5.0
  • 仕事の将来性

    今後AIが発達してきても、AIには代用できない仕事だと思っています。人にしかできない職業だと思います。

  • 女性の働きやすさ

    女性が多く、妊活しやすい環境です。周りのスタッフ理解もとても得やすく働きやすいです。

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