歯科技工士の平均年収はいくら？具体的な金額や年収アップのポイントを解説！

歯科技工士の平均年収は？

全業種・業種毎の平均年収との比較

まず、歯科技工士の年収について、日本国内における全業種・業種毎の平均年収と比較して高いのか低いのかを解説します。
厚生労働省によって行われた調査によると、歯科技工士の平均年収は約390万円です。これは日本人がもらっている平均年収と比べるとどうなのでしょうか？国税庁によって調査された令和2年の全業種の平均年収はおよそ433万円といわれています。つまり、歯科技工士の平均年収は43万円ほど日本人の平均年収に比べると低いというデータがでています。また、歯科技工士の月給平均は29万円が相場となっています。
歯科技工士は様々な働き方ができ、正社員の場合は月給に加えてボーナスなどの手当てが支給されることが多く、給料が高くなる傾向にあります。一方、派遣社員やアルバイト・パートは基本的にボーナスが支給されないため、年収で見ると正社員より低くなる傾向にあります。
技巧所によっては歩合制を取り入れている場合があり、一カ月で制作・修理した歯科技工物の数や売り上げの数字によって評価が変わってくることもあります。
歯科技工士の平均年収がやや低めである理由と、年収アップのためにどうすればいいのか、次から詳しく解説していきます。

歯科技工士の平均年収が低い理由は？？

歯科技工士の平均年収が低いことには理由があります。1つ目は、歯科技工士は国家資格を取得することで活躍できる専門職であり、同じ職場に歯科技工士が1人しか配属されていないことが珍しくないという点です。自分以外の歯科技工士がいないということは社内の仕事や信頼を独占できるメリットもありますが、一方で比べる対象がいないので相対的に給料アップが見込めないデメリットもあります。2つ目は、個人のスキルや経験以外にも、雇用形態、地域、年齢、性別、働き方など様々な条件によって違いが出てくる点です。それについて次章詳しく解説します。

歯科技工士の雇用形態別(正規・非正規・パート・アルバイト）の給与比較

歯科技工士は正社員以外にも、派遣社員、アルバイトやパートなど様々な雇用形態があり、ライフスタイルに合わせて働き方を選択することができます。
正社員の場合、基本は月給制であり、約21～70万円となっております。契約社員の場合は17～50万円ほどとなっており、正社員と比べると少し低くなっています。また、日給制を取り入れている場合もあります。アルバイトやパートは時給制となっており、850～2000円が相場となっています。週5日で毎日8時間働いたとしても、月20万円前後となります。
「歯科技工士のスペシャリストとして活躍したい」「プライベートの時間を大切にしながら働きたい」など、自分の希望や条件に合った雇用形態を選ぶといいでしょう。

歯科技工士の勤務先別（規模）の給与比較

歯科技工士の年収は、勤務先の規模と平均年収が必ずしも比例するとはいえない傾向が見られます。歯科技工士の平均年収は10～99人規模の場合は390万円、100～999人規模の場合は340万円、1000人以上規模の場合は422万円です。このことからも、勤務先によっては小規模企業のほうが待遇が良い場合もあることが分かります。
歯科技工士として企業や技巧所に就職する際には、あまり勤務先の規模にとらわれず、それぞれの待遇や福利厚生などをしっかり吟味するといいでしょう。

歯科技工士の勤務先別（規模別）の給料比較

歯科技工士の地域別（エリア別）の給与比較

東京の平均年収は255.5万円です。平均年収が一番低い地域は石川県で227.3万円です。一番高い地域は山形県で696.9万円です。参考程度になりますが、北海道は517.2万円、神奈川県は391.5万円、静岡県350万円、大阪府425.4万円、愛媛県652.8万円、京都府643.3万円、熊本県424.8万円です。データがない県もあるため一概にはいえませんが、西日本エリアのほうが収入が高くなる傾向にあり、勤務する都道府県によって平均年収が大幅に変わってくることが分かります。

歯科技工士の年齢・性別の給与比較

厚生労働省の調査によると、歯科技工士の平均年収は年齢の上昇に伴い概ね上がっていく傾向が見られます。平均年収が一番高い年齢層は50～54歳であることから、年齢を積み重ねるごとに経験、スキルを身に付けることが大切です。

また、男女によっても平均年収が変わってきます。厚生労働所の調査によると、業界規模が10人以上の男性・女性の平均年収は男性のほうが多くなっています。
男性の方がライフステージと関わりなく継続して働ける可能性が高いため、順調に給料が上がっていくことも理由として考えられます。

歯科技工士の年齢別の給料比較

歯科技工士の男女別の給料比較

将来、給料を上げるには？！

技術を上げる

勤務先の給与体系が歩合制の場合は、自分のがんばり次第で給料アップが見込めます。1つあたりの単価が高くなる自由診療の歯科技工物を手掛けたり、短時間でより多くの歯科技工物の制作・修理をできるようにするなど、収入にダイレクトに繋がる自分の技術を磨き上げましょう。
また技術と併せて歯科衛生士など別の資格を取得し、＋αの技術を身に着けることも給料アップの交渉材料となりそうです。

開業する

企業や技巧所に雇われている場合は営業担当者が仕事を取ってきますが、その分個人への配分は少なくなります。独立開業し自分の会社を持てば、受注した仕事の金額がダイレクトに自分の収入に繋がります。もちろんその場合は、自分で歯科医院などに営業をかけたり、経営ノウハウやマネージメントを学んだりする必要があります。

海外で活躍する

国が認めた国家試験である日本の歯科技工士は、その知識と技術が海外では高く評価されています。アメリカでは資格を必要としないぶん完全実力主義のため、自分の技術次第では高収入を見込めます。また、海外は日本と違い歯科治療は保険適用外で治療費が高額になるため、必然的に歯科技工士の給料も高くなる傾向にあります。

まとめ

歯科技工士の年収には大きな幅があるといえます。個人の実力はもちろんですが、特に働く場所によって大きな違いが出てきます。企業に所属し続ける場合はしっかり努力して自分の技術を磨き上げられるかが要になります。また、開業や海外で赴任する場合は経営ノウハウや営業スキル、語学力などそれぞれに応じた能力が求められます。歯科技工士の国家資格を取ることをゴールとせずに、社会に出てから多大な努力を積み重ね、経験・スキルを磨きあげていくことが重要だといえます。