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歯科技工士のキャリアアップの方法は?仕事の現状と将来性を解説!

2022年03月01日

はじめに

この記事では歯科技工士の現状と将来性について、そして歯科技工士のキャリアを築いていくうえで必要な情報を紹介します。高齢社会が進むにつれて歯科技工士のニーズも増えていきます。今後、若い歯科技工士が活躍するチャンスが大幅に広がります。

現状について

歯科技工士の現状について

厚生労働省の「医療施設動態調査」によると、令和3年時点で歯科医院は全国で68,024医院あり、コンビニエンスストア(約56,000店)より多いといわれています。しかし、歯科治療に欠かせない歯科技工士は不足しているのが現状です。高齢化社会を迎えている日本では歯科技工士のニーズが高まっているため、逆にいえば、しっかりと技術を身に付けて最新の知識を柔軟に吸収できる若い歯科技工士は引く手あまたな存在になれるチャンスであるともいえます。歯科技工士として活躍するためには、現状だけでなく将来性を見込んで考えることが重要です。

歯科技工士の業界が直面している課題について~人手不足~

厚生労働省がまとめた「歯科保健医療と歯科技工士をとりまく現状」によると、歯科技工士の高齢化や養成機関の定員割れによって若手の参入が減っており、将来的に歯科技工士が不足することが予想されています。歯科技工士の人手不足の原因としては、厳しい職場環境や待遇が挙げられます。歯科医院や技工所一箇所につき歯科技工士が1人しか勤務していないことが多く、仕事量が多く長時間勤務になりやすいのです。また、相対的な評価がしにくくなかなか待遇改善に繋がらないことも要因となっています。

しかし、子どもの虫歯は減少し、健康な歯が多く残っている高齢者が増えて歯周病が増加している現代においては、今後も歯科治療に伴う歯科技工士のニーズは増え続けると考えられます。

歯科技工士の将来性について

社会変化がもたらす歯科技工士需要の増加

厚生労働省の「歯科保健医療と歯科技工士をとりまく現状」によると、2016年歯科疾患実態調査においては、50~54歳で失っている歯の平均本数は2.0本、75~89歳で10.3本です。永久歯は28~32本であることからも、高齢者でも半分以上の歯が残っている人が多いことが分かります。残った歯は正しいケアが必要なのはもちろんのこと、怠ると歯周病などさまざまなトラブルに見舞われることがあるので、歯科医師や歯科技工士による歯科治療が欠かせないといえるでしょう。そのため、歯科技工士の需要は引き続き高まっていくことが予想されます。

歯科技工士の職場環境の変化について

「歯科保健医療と歯科技工士をとりまく現状」の中でも、歯科技工士の待遇はその重労働に見合わないという声がありました。待遇が悪ければ、当然求職者は減っていきます。そこで厚生労働省では歯科技工士の職場環境について、仕事に対するやりがいだけでなく長時間労働、給与の低さ、将来性などを改善する必要があることを指摘しました。また、公益社団法人日本補綴歯科学会の日補綴会誌の「歯科技工士の職場における労働衛生管理」によると、歯科技工物を加工する際に発生する粉じんが健康被害を及ぼすことにも言及されており、対策が求められています。それぞれの勤務先に任せるのではなく政府が介入することで、歯科技工士の給与等の待遇は今後改善されていくと考えられます

女性の歯科技工士が活躍する場が増える?!

歯科技工士といえば昔は粉じんによる職場環境の悪さが取りだたされていましたが、現在は扱う機材や材料の進化によって大幅に改善され、女性にとっても安全で働きやすい職場環境へと変わりつつあります。また、正社員のほかに派遣社員、パート・アルバイトなど柔軟な働き方も可能です。シフト制を取り入れている技工所では残業がないことも多く、再就職が比較的しやすい国家資格であることからも、出産・育児などでライフスタイルが変化しやすい女性にとっても働きやすい職業といえます。

歯科技工士のキャリアのスタート~就職先~

歯科技工所

最も多くの歯科技工士に勤務先として選ばれているのが歯科技工所です。歯科医院から受注した歯科技工物を作成・加工・修理し、納品するまでが仕事です。多くの医療機関からさまざまな歯科技工物の依頼を受けるため、スキルを磨いたり自分の得意分野を見つけたりするにはうってつけの就職先といえるでしょう。

歯科医院

歯科医院に常駐し、歯科医師から指示を受けて歯科技工物を作成・加工します。自分が手掛けた歯科技工物の具合や患者さんの様子をその場で確かめ、次に繋げることができるのが魅力です。歯科医師や歯科衛生士と協力しながらチーム医療の一員として患者さんの口の中の健康と向き合うため、コミュニケーション力が求められます。

関連企業

歯科技工士としての知識や経験を活かして、歯科技工に必要な機器や素材の開発・研究を行います。商品化して流通すれば多くの歯科医院や技工所などで使用され、歯科治療の発展に貢献できます。ただし、商品の開発・研究にはその分野のエキスパートでなければ勤まりません。経験を積み重ねてから目指すといいでしょう。

審美歯科

いわゆる自由診療が中心の審美歯科では、虫歯や歯周病などの病気の治療ではなく、歯や口元を美しく見せるための措置を行います。患者の歯並びを整えたり、白く形の良い歯に見せるための歯科技工物を作成・加工します。審美歯科では基本的な歯科技工技術や知識のほかに、美的センスが求められます。

歯科技工士のキャリアアップの仕方

歯科技工士としての技術を高める

歯科技工士は自分の腕で勝負できる仕事であるため、高い技術を身につけることは非常に大事です。技術を高めたり突き詰めることで、多くの患者を的確に処置することはもちろん、独立開業や海外で活躍する道も拓けます。高い技術さえあれば何歳になっても仕事し続けられます。

ほかの資格を取得する

歯科技工士は一つの資格でも十分ではありますが、歯科衛生士とのダブルライセンスを所持していることでさらにメリットを得られます。歯科衛生士は歯科医師の補助として、機器を使って歯石や汚れの除去を行います。この二つの国家試験を所持することでより患者目線のサポートができ、治療の幅が広がります。

独立

歯科技工士は独立開業することができる国家資格の一つですが、開業するにはマーケティング力や集客力など経営者としての手腕も求められます。また、開業の際には保健所への届け出が義務付けられています。

転職

近年の歯科技工士の減少によって需要過多な状況を踏まえると、歯科技工士は転職しやすい職業といえます。「歯科技工士実態調査報告書」によれば、2018年には常勤労働者の転職検討理由として「給与」「労働時間」がそれぞれ7割以上を占めています。待遇改善を求めて転職することも一つの手段といえるでしょう。

歯科技工士の海外進出

日本では国家資格に認定されている歯科技工士ですが、国家資格を不要とする国々も多くあります。細かく正確な作業を得意とする日本の歯科技工士は海外でも高く評価されており、また基本的な歯の構造はどの人種であっても変わらないため、技術に加えて語学力があれば海外でも歯科技工士として活躍できるでしょう。

まとめ

日本は超高齢化社会へ突入していく中、義歯や入れ歯、インプラントなどの需要が増し、審美歯科の認知も広がってきているため、今後、ますます口の中から人々の健康をサポートする歯科技工士の需要は高まっていくと考えられます。しかし、歯科技工士は微減傾向にあります。
歯科技工士として成功するためには、自分がどういう分野のエキスパートとしてどんな場所で活躍したいかを明確にすることが重要です。これを機に、自分自身のキャリアをどのように築いていくのかを考えてみることをおすすめします。

当記事に記載の数値や事実等に関しては、下記サイトの情報を基に作成しております

厚生労働省医療施設動態調査
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/iryosd/m21/dl/is2101_01.pdf
日本フランチャイズチェーン協会JFAコンビニエンスストア統計調査月報
file:///C:/Users/kurok/Downloads/20211220123521.pdf
厚生労働省歯科保健医療と歯科技工士をとりまく現状
https://sp.nichigi.or.jp/site_data/nichigi/files/31701_1103ishikawa.pdf
公益社団法人日本補綴歯科学会日補綴会誌
https://www.jstage.jst.go.jp/article/ajps/12/3/12_227/_pdf
歯科技工士の職場における労働衛生管理
https://www.jstage.jst.go.jp/article/ajps/12/3/12_227/_pdf
公益社団法人歯科技工士会2018歯科技工士実態調査報告書
https://www.nichigi.or.jp/site_data/nichigi/files/2018jittaichosa.pdf

実際に働いている人の口コミをチェックしよう!

歯科技工士として実際に働く方にアンケートをとり、 「キャリア・将来性」に対する満足度を5段階で評価してもらいました。
実際に働いている人の口コミを参考に、どんな仕事なのかイメージをつけましょう!
実際に働いている人の
歯科技工士の「キャリア・将来性」の満足度
★★★☆☆ 2.6 (10件)

歯科技工士の 「キャリア・将来性」の 口コミ一覧

全10件

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佐賀県の40代男性

正社員 / 450万円以上~500万円未満 / 専門学校卒

就職先:歯科医院

キャリア・将来性の満足度 ★★☆☆☆ 2.0
  • 仕事の将来性

    仕事の大変さは一生続くので続けられなければ早めに転職した方が良い。 仕事自体が好きでなければ続けられる人は少ないのではないかと考える。

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島根県の40代女性

正社員 / 200万円以上~250万円未満 / 専門学校卒

就職先:歯科医院

キャリア・将来性の満足度 ★☆☆☆☆ 1.0
  • 仕事の将来性

    ない。歯科医師の一人勝ち。従業員の生活なんて考えない。経費の一つ。なるべく削減。

  • 女性の働きやすさ

    男女とかない。性別とか意識してない。された事もない。女性だから、よかったなんて一度もない。

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愛知県の30代前半男性

正社員 / 400万円以上~450万円未満 / 専門学校卒

就職先:歯科医院

キャリア・将来性の満足度 ★★★☆☆ 3.0
  • 仕事の将来性

    歯科技工士という職業は10年以内になくなるかもしれない職業だったり機械の方で誰でもできるようになるかもしれないからです

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静岡県の40代男性

正社員 / 450万円以上~500万円未満 / 専門学校卒

就職先:歯科技工所

キャリア・将来性の満足度 ★★★☆☆ 3.0
  • 仕事の将来性

    基本的には手作業なアナログな仕事ですが デジタル化が急速に進んでおりそういった意味では将来性も高いと思います

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兵庫県の30代後半男性

正社員 / 400万円以上~450万円未満 / 専門学校卒

就職先:歯科技工所

キャリア・将来性の満足度 ★★★☆☆ 3.0
  • 仕事の将来性

    将来性はITが進んできているので、それがどこまで自分達の仕事の代わりをするかによりなくなるかもしれません、

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