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助産師のキャリアアップの方法は?仕事の現状と将来性を解説!

2022年03月01日

はじめに

産婦人科医が不足する昨今、医師の指示がなくても正常な出産の介助ができる助産師は、需要が多く、幅広く活躍できる職業です。この記事では助産師の現状と将来性だけではなく、助産師がキャリアを築いていくうえで必要な情報についてご紹介します。

現状について

助産師の現状について

近年は産科の医師と出産可能な施設数が減っているため、産科を設置している病院では、助産師の専門性を活かす取り組みが活発になっています。具体的には正常な分娩を助産師が担当し、ハイリスクな分娩を産科医が担当するようなチーム医療の推進や、院内助産や助産師外来の設置などがあります。これらに加えて、妊産婦に関わる業務を担当できる能力を持つ質の高い助産師を審査して認証する「CLoCMiPレベルⅢ認証制度」が2015年から始まるなど、社会的な需要は依然として高い状況にあります。

助産師の業界が直面している課題について~人材不足~

出産をめぐる医療現場では、産婦人科医や助産師が不足しています。少子化のあおりを受けて、地域で出産可能だった医療機関が閉鎖され、健診や出産を遠くの医療機関で行わなければならなくなる妊婦が増えている実態があります。
また、助産師が病院に集中する状況も大きな課題となっています。平成28年看護関係統計資料集によると、助産師が働く職場は病院がトップで全体の61.3%を占め、2位の診療所が26.5%と病院と比べてかなりの開きがあり、助産所にいたっては4.7%と非常に少なくなっています。一方、実際に妊婦が赤ちゃんを産んだ場所を見てみると、病院は53.7%、助産所は0.7%にすぎず、助産師の少ない診療所が45.5%となっています。これは診療所につとめる助産師の負担が重いことを示しています。そして、出産に対応する医療施設の中には、人材不足から助産師がいない医療機関も存在します。さらに、産科に特化した病院は少なく、約8割が他の科との混合病棟になっているため、助産師は産科以外の患者のケアに時間を取られて、肝心の妊産婦のケアに十分な時間がかけられないという問題も起きています。

助産師の将来性について

社会変化がもたらす助産師の需要の増加

厚生労働省の「一般職業紹介状況(令和3年11月分)」によると、保健師・助産師等の有効求人倍率はパートを含む場合に2.14倍、パートを除いた場合に2.37倍となっていて、人材不足の現状が数字となって表れています。パートを除いた有効求人倍率の方が高いので、正規雇用の求人が多いと推察できます。少子化が進む日本では、出産件数が減っていますが、同時に産科医の数も減っていて、院内助産や助産師外来を担当できる優秀な助産師が求められています。また、女性の一生をサポートするのが仕事でもありますので、今後も需要の高い状況が続くと考えられます。

助産師の職場環境の変化について

もともと助産師が不足していた職場に、新型コロナウイルス感染症の流行が追い打ちをかけ、助産師が働く医療現場はどこも苦しい状況が続いています。そこで日本政府は、令和3年11月19日に、看護職員の賃上げに関する閣議決定を行い、要件を満たす医療機関に勤める看護職員に対して、令和4年2月から収入を月額4,000円程度引き上げるための措置を講じることにしました。日本看護協会が、勤務環境や賃金水準の改善に意欲的であることから、助産師の待遇は今後も改善されていく可能性が高いと言えます。

助産師のキャリアのスタート~就職先~

病院

助産師の就職先として最も多いのが病院です。産科医と連携して医療チームを組み、さまざまな分娩を介助し、妊産婦のケアを行います。産科病棟が独立していない病院では、看護師として他科の患者のケアも担当するため、助産師としての業務に専念したいと考えるなら、産婦人科の診療科目がある病院に就職しましょう。

診療所

診療所には入院設備を設置している場所とない所があります。入院設備があれば、病院と同様に外来と病棟の両方の仕事があり、少人数でたくさんの業務をこなさなければなりません。入院設備がない場合は分娩設備もないことが多いですので、助産師は出産介助以外の妊産婦の健診やサポートを担当するケースが目立ちます。

助産所

助産所も診療所のように、入院施設がある場所とない場所があり、分娩を扱わずに妊産婦のケアやサポートだけを行う助産所もあります。助産所は、助産師が主体となって働ける職場ですが、医師がいない点で病院や診療所とは環境が異なります。正常分娩ができない場合には、医師のいる医療機関を頼らなければなりません。

保健所

地方自治体の保健所や保健センターにも助産師の活躍の場があります。臨時職員や非常勤という選択肢もありますが、正職員になるには、公務員試験を受けて合格する必要があります。乳幼児健診などの保健指導、子育て支援、窓口対応など、主に産後の母子の生活をサポートするのが仕事になります。

教育機関など

教育機関などでも助産師は活躍できます。ただし、看護学校の専任教員であれば、5年以上助産師として臨床経験を積んだ上で講習会を受けるといった条件を満たす必要があります。また、出産後の母子が家族と共に過ごせる宿泊型ケア施設である産後ケアセンターなど、助産師を必要とする職場は他にも広く存在します。

助産師のキャリアアップの仕方

助産師としての技術を高める

母子の命を守る助産師として働くために、技術を高めることは非常に大事です。そのため、まずは分娩介助や健診などの基本的な実務経験の積み重ねが求められます。それなりの経験を積んだら、小児科、産科外来、救急外来などでも経験を積み、適宜研修を受けるなどして技術の向上を目指しましょう。

ほかの資格を取得する

5年更新制のアドバンス助産師を取得して維持していくことも、キャリアアップする上で効果的です。アドバンス助産師は、助産実践能力が習熟段階レベルⅢ(CLoCMiPレベルⅢ)にあるという認証を受けた助産師の通称で、日々向上心を持って最新の知識や技術を身に着けるように努力していかなければなりません。

独立

アドバンス助産師を維持するなどキャリアアップの努力を続けた先には、独立の道も開けてきます。助産所の開業基準を満たす、経験豊富で確かな技術と知識を持つ助産師となれれば、自分の助産所を開業できます。助産師としての理想があれば、それを実践することができるでしょう。

転職

助産師の場合には、助産師として多様な経験を積み上げてキャリアアップするために、転職を繰り返すケースも多々あります。ハイリスクな分娩への対処法を身に着けるために大学病院や産科救急に対応している病院に転職したり、自由度の高いお産を選べる助産所に転職したりというように転職によるキャリアアップが考えられます。

まとめ

少子化で出産数が減っている日本では、産科の医師と出産に対応できる医療施設の数が減っていて、妊産婦が出産できる場所を見つけるのが難しくなってきています。そのため、医師の指示がなくても正常分娩の介助ができ、院内助産や助産師外来が担当できる助産師の活躍が期待されています。助産師の活躍の場は幅広く、アドバンス助産師を取得してキャリアアップすれば、転職や独立にも活かすことができるでしょう。

当記事に記載の数値や事実等に関しては、下記サイトの情報を基に作成しております

鉱石財団法人日本看護協会「周産期医療の現状・課題」
https://www.nurse.or.jp/nursing/josan/perinatal_medical/index.html
日本看護協会日本周産期・新生児医学会雑誌「助産師からみた産前・産後ケアの課題」
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjspnm/56/4/56_598/_pdf/-char/ja
厚生労働省「一般職業紹介状況(令和3年11月分)」
https://www.mhlw.go.jp/content/11602000/000867315.pdf
日本看護協会
https://www.nurse.or.jp/nursing/shuroanzen/chingin/improvement/pdf/jnanews202112.pdf
日本看護協会
https://www.nurse.or.jp/nursing/shuroanzen/chingin/improvement/

実際に働いている人の口コミをチェックしよう!

助産師として実際に働く方にアンケートをとり、 「キャリア・将来性」に対する満足度を5段階で評価してもらいました。
実際に働いている人の口コミを参考に、どんな仕事なのかイメージをつけましょう!
実際に働いている人の
助産師の「キャリア・将来性」の満足度
★★★★☆ 3.8 (35件)

助産師の 「キャリア・将来性」の 口コミ一覧

全35件

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東京都の40代女性

パートタイム/アルバイト / 350万円以上~400万円未満 / 専門学校卒

就職先:病院

キャリア・将来性の満足度 ★★★★☆ 4.0
  • 仕事の将来性

    これから少子化が進んでくると産婦人科も減ってしまうのではないかと思う。今は助産院で産もうと思う人がどのくらいいるのだろうかと思ってしまう。

  • 女性の働きやすさ

    女性が多い職場にも関わらず、妊娠、出産、子育てをしている人に厳しいと思う。もう少しマンパワーが潤っていればいいのだろうと思うが…

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三重県の20代後半女性

正社員 / 450万円以上~500万円未満 / 短期大学卒

就職先:クリニック

キャリア・将来性の満足度 ★★★☆☆ 3.0
  • 仕事の将来性

    助産師になり分娩もあたりやりがいはあるが、これから将来どうしていこうと思ってるのかなど、まだ考えてない

  • 女性の働きやすさ

    女性ばかりの職なので、特に困ったことはないが、1人休んでしまうと大変。 あとはとくにない

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滋賀県の30代前半女性

正社員 / 350万円以上~400万円未満 / 大学卒

就職先:病院

キャリア・将来性の満足度 ★★★☆☆ 3.0
  • 仕事の将来性

    田舎ならではの古い習慣がたくさん残っているし、医師の手先みたいなこともあるから嫌だ

  • 女性の働きやすさ

    医師を除けば女性しかいない職場だから評価しきれないという方があっている気がするから

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愛知県の40代女性

正社員 / 650万円以上~700万円未満 / 専門学校卒

就職先:病院

キャリア・将来性の満足度 ★★★★☆ 4.0
  • 仕事の将来性

    就職には困らないし、求人は多い。それなりの給料がもらえ、世間からの評判もよい。どんな時期にも求められる職業。

  • 女性の働きやすさ

    同性が多い職場で他者に気持ちを分かってもらえる。子育てなどの境遇も似ているため助けてあいしやすい

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長野県の40代女性

正社員 / 350万円以上~400万円未満 / 専門学校卒

就職先:クリニック

キャリア・将来性の満足度 ★★★★☆ 4.0
  • 仕事の将来性

    若い人口がへり、出産数も減っている。純粋な助産師ではなく、それに付随したケアばかりが中心になってきている。

  • 女性の働きやすさ

    女性ばかりの職場で仕事より人間関係に重きをおいてしまっている。勤務までそれを中心にまわっている。

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