動物看護師のキャリアアップの方法は？仕事の現状と将来性を解説！

現状について

動物看護師の現状について

動物看護師は、近年見られるペットブームの影響もあり、獣医師とともに需要のある職業と言えます。2022年現在は民間資格しか存在しないものの、今後動物看護師は国家資格化される予定となっており、そういった影響も受けて待遇や職業としての価値も変わってくることが予想されるでしょう。人間の医療関係の職業と比べると課題が多いのも事実ですが、今後需要が高まることや待遇改善の可能性があることは確かといえます。

動物看護師の業界が直面している課題について～薄給～

動物看護師の業界では、残念ながら薄給であることが一番の課題として以前から取りざたされています。厚生労働省の調査によると、動物看護師の全国的な平均年収は312万円となっており、全業種の平均年収と比較するとかなり低い額であることがわかります。また、地域によってはさらにこの年収を下回ることもあり、待遇の悪さが目立つのが動物看護師の残念なポイントといえるでしょう。そのため単純に動物が好きという思いだけではやっていけない厳しさがある業界といえるのは確かです。職業として需要があるのは事実ですが、現状民間資格しかなく、それゆえに資格がない人でも仕事ができてしまうことが、給料が上がりづらい原因として考えられます。またほかには、医療費が高いことから動物を病院に連れてこない飼い主も少なくなく、結果として病院側も十分な経営資金を確保しづらい傾向にあることなども待遇が悪くなる理由になり得るでしょう。今後動物看護師は愛玩動物看護師法によって国家資格化される予定のため、それによる待遇改善が期待されているのが現状です。

動物看護師の将来性について

社会変化がもたらす動物看護師需要の増加

ペットブームの影響により、動物病院の数は以前よりも増加傾向にあります。実際に農林水産省によれば、ペット・小動物を対象とする医療機関の施設数は2010年以降10,175件だったのに対して、2018年には11,981件に増加しています。獣医療の技術が高度化されたことでペットの寿命が全体的に伸び、治療を必要とするペットが増えたことも理由の一つです。こういった背景により、獣医師や動物看護師の需要は今後も増えていくものと考えられます。

動物看護師の職場環境の変化について

動物看護師は、2023年を目処に国家資格化される予定となっています。そのため民間資格しかない現状と比較すると、今後は国家資格化に伴い、待遇は改善されていくことが予想されます。国家資格を持っていると、これまでの補助業務に加えて「輸液剤の投与」「マイクロチップの装着等」といった行為が動物看護師の業務として行えるようになります。つまりできる仕事の範囲が広がるため、その分手当が付きやすくなったり給料アップが見込めるようになったりします。具体的に年収がどの程度変化するのかはまだ不透明な部分もありますが、動物看護師の待遇の悪さが業界における大きな課題となっているため、この国家資格化の動きが待遇を良い方法へと変えてくれることは間違いないでしょう。

動物看護師のキャリアのスタート～就職先～

動物病院

最も多い選択肢の一つは動物病院です。動物病院では、獣医師の治療の補助を行ったり病院の受付業務を行ったりします。規模は獣医師を含めて数人程度のところから、何人もの獣医師と看護師が働くところまでさまざまで、勤務時間や診療の対象となる動物も病院によって異なります。

ペットホテル

旅行や出張で家を留守にする飼い主の代わりに、ペットを預かってお世話をするのがペットホテルになります。ペットホテル事業のみを行っているところもあれば、サロンや病院を併設しているところもあり、その規模もさまざまです。ペットホテルで働く場合は、ペットの健康チェックや食事の管理、その他トリミングや爪切りなどを担当することもあります。

ペットサロン

動物看護師はペットサロンでも働くことができます。動物看護師は獣医師ではないため治療や診察はできませんが、健康管理を含む全体的なお世話・お手入れを主に仕事として担当します。

ペットショップ

動物看護師の資格を持っている人の中にはペットショップで働く人もいます。ペットショップの中にはサロンやホテルを併設している場合もあり、主にそこでの健康管理やお世話などを担当します。またショップ店員として、ペットの購入を検討しているお客様に対して接客を行うこともあります。

動物看護師のキャリアアップの仕方

動物看護師としての技術を高める

動物看護師は給料が他の業種と比べ低い傾向にあることが業界全体の課題として挙げられますが、スキルアップして経験を積めば、管理職などに就くことで給料アップが見込める可能性があります。チーフやリーダーといった、周りのスタッフをまとめる上位の役職を任せてもらえれば、その分手当が付く可能性もあるでしょう。

ほかの資格を取得する

別の資格を取得してキャリアアップを考えるなら、例えば小動物介護士の資格を取得して介護の知識を増やしたり、トリマーの資格を取得してトリミングの技術を磨いたりすることなどの選択肢があります。資格を持っておけば業務の幅が大きく広がり、資格手当につながるなど非常に役立つでしょう。

独立

動物の訪問介護・訪問看護事業において独立を目指すという選択肢もあります。近年は動物の高齢化に伴い動物医療や介護の需要が高まってきています。現状はそこまでメジャーなビジネスモデルではありませんが、独立を目指すことも可能です。独立する際には経営の手腕なども求められるためさまざまな勉強が必要になりますが、やり方次第では平均よりも高い年収になる可能性もあります。

転職

傾向としては、人数が多く会社として規模が大きいところのほうが待遇は良くなるといえます。そのためキャリアアップを考えるなら、より給料の高い動物病院やキャリアアップ制度が導入されている病院を転職先に選ぶと良いでしょう。動物病院やペットホテルの管理職の求人を見つけて転職すれば、キャリアアップできる可能性が高まります。

まとめ

動物看護師はこれからますます需要が高まる職業です。ペットブームの影響から動物病院の数は増え、実際に動物看護師は今後国家資格化される予定になっています。しかしながら、主に給料などの待遇の悪さが目立つ業界であることも事実です。そのため動物看護師として働いていくことを考えるなら、キャリアアップの方法はより具体的に考えておくべきでしょう。国家資格化に伴う将来的な待遇改善にも期待しつつ、どのようにキャリアを形成していくと良いのかは事前にしっかりと見極めておきましょう。