学校選び、基本のキ 〜中学校編~

人生の受験タイミングには、中学、高校など複数の選択肢があり、さらに学校自体も多数の中から選ぶ・・・学校選びの悩みはつきないものです。今回は、中学受験における学校選びのポイントをお伝えします。

学校選びのポイント1中学校を考える前に大切なこと

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本題に入る前に、子どもの進路を考えるにあたって、大切なことを1つお伝えします。それは、「お子さんが18歳になったとき、どのような進路を歩んでほしいかを考えておく」ことです。小学校受験、中学受験、高校受験においても最も大切な軸になります。
例えば、「我が子には医者になってほしい」ので、「大学は医学部に進学してほしい」と親御さんが考えたとします。そうなると、必然的に選択肢はこうなります。

・私立大学に医学部のある附属校(慶應義塾大学や日本大学、東海大学など)
・国立の学校(併設校がある場合、ない場合のどちらも)
・私立国立公立の中等教育学校か公立の中高一貫教育校
・高校受験にて国公立の進学校

逆に中学受験時に医学部がない私立大学附属校に進学したものの、あとから大学選択のときに医学部に進みたいというケースを考えてみてください。医学部のない私立大学附属校といえば、早稲田大学や明治大学の附属校など数多くあります。ほぼ全員が併設大学に行くなか、自ら高い志をもって外部である医学部に向けて勉強するというのはなかなか至難の業です。
12歳、生まれ月によっては11歳の段階で大学進学を決めるのは勇気のある決断です。が、「18歳のときに、お子さんにどのような選択肢をしてほしいかを考えておく」ことに関しては、小学校受験でも中学受験でも高校受験でも、どのタイミングにしても学校選びの大切な軸といえるでしょう。

学校選びのポイント2中学受験における3つの選択

<国立中学校編>

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「18歳のときに、お子さんにどのような選択をしてほしいか」を考えた上で中学受験をすると決断した場合、国立中学校・公立中高一貫校・私立中学校、3つの選択肢があります。
<併設高校のある首都圏国立中学校(中等教育学校)>
お茶の水女子大附属、筑波大附、筑波大附駒場、東京学芸大学国際、東京学芸大小金井、東京学芸大世田谷、東京学芸大竹早、東京大附
<併設高校のない首都圏国立中学校>
埼玉大附、千葉大附、横浜国立大附鎌倉、横浜国立大附横浜

たとえば、中学受験を経て埼玉大学附属中学校に進学した場合、3年後に全員高校受験をすることになります。中学で受験し、また高校で受験、実力がつくメリットがある一方、10歳代の多くの時間を受験勉強に使うことになります。
また、併設高校のある国立中学校においても注意が必要です。
お茶の水女子大学附属に関しては、中学校までは共学校ですが、高校以降は女子校になります。つまり、男子に関しては、必ず高校受験をしなければなりません。

学校によって併設校に進学できる保証はないという学校もあります。東京学芸大学附属高校は、附属中学校である竹早、世田谷、小金井から内部進学ができます。(東京学芸大学附属国際は、中等教育学校であるため6年一貫)。しかし内部進学できる割合は、50%。せっかく併設校のある国立中学校に進学したのに半数は高校受験をすることになります。
割合は異なりますが、お茶の水女子大附属中(女子の一部)や筑波大学附属に関しても同様です。中学受験をした後も、高校進学を見据えた学習をすること必要であるのです。

その他の国立中学校の特徴について記載します。
・教育実験校である(→大学の教育機関、学生たちの教育実習の場となるため、公立や私立と異なり、カリキュラムの変更が多々あります。)
・学費が安い(→私立中学校に比べて、圧倒的に学費が抑えらます。)
・通学区域の制限がある
・筆記試験の他に、抽選を実施する学校もある

<公立中高一貫校編>

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近年、都立や県立などの公立中高一貫校も増えています。東京では、2005年に都立白鷗高校附属中学校が募集を開始したのを皮切りに、現在まで11校の公立中高一貫校(都立10校と千代田区立九段中等教育学校)が誕生しました。いずれも都民であれば受検できます。千代田区立九段中等教育学校に関しては、千代田区民限定の受検枠と千代田区民以外の受検枠に分かれています。東京以外でも、神奈川県に5校、千葉県に3校、埼玉県に4校、茨城県に至っては13校も誕生しており、増加傾向です。(校数は2023年1月現在)

公立中高一貫校について、国立中学校や私立中学校との違いは、試験問題の独自性があげられます。
公立中高一貫校は、国語・算数・理科・社会のそれぞれの試験はなく、これらを融合した「適性検査」が行われる場合がほとんどです。その内容は、国立中学校や私立中学校の試験問題と大きく異なるため、志望校に合わせた対策が必要となってきます。

その他の公立中高一貫校の特徴を記載します。
・学費が安い(→国立中学校と同様、私立中学校に比べて格段に安い。)
・先取り学習がない
・小学校の成績も加味される

<私立中学校編>

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私立中学校の最大の特徴は、「個性がある」点です。
学校ごとの建学の精神に基づき、独自の教育方針があります。公立学校に見られる教員の人事異動は私立では少ないため、中高の6年間を一貫した教育方針のもと、独特な文化が醸成されています。一方で、国公立中学校と比べ、学費は高くなります。
私立中学校の分類、進学校と付属校について紹介しましょう。

●進学校の特徴
ほとんどの生徒が大学受験を目指します。国公立の学校や公立中高一貫校と大きく異なる点は、先取り学習です。中高一貫教育の利点を活かし、一般的に高校2年生までに高校範囲の学習を終わらせます。また、英語や数学などの主要教科の授業時間数が、国公立の学校と異なり多く設定されているのも特徴です。

<東京都>
開成、麻布、武蔵、桜蔭、女子学院、雙葉、駒場東邦、巣鴨、海城、豊島岡女子、鷗友学園、吉祥女子、渋谷教育学園渋谷、広尾学園など
<神奈川県>
聖光学院、栄光学園、浅野、フェリス女学院、横浜共立、横浜雙葉、サレジオ学院など
<千葉県>
渋谷教育学園幕張、市川、東邦大東邦など
<埼玉県>
栄東、開智、浦和明の星など

●付属校の特徴
併設大学に進学することを目指している生徒が多いです。ただし、学校によっては併設大学への進学状況が異なる点に注意が必要です。また、付属校でありながら、他大学の受験に力を入れる学校も増えおり、各学校の方針をよく把握することが重要です。

<大学への推薦方式>
1. ほぼ全員が進学できる:慶應義塾大学付属各校、早稲田大学高等学院など
2. 高校在学中の成績による:学習院、立教各校、成城学園など
3. 付属校のみの統一試験を受ける:日本大学付属各校、東海大学付属各校

<推薦入学率(短大を含む)>
慶應義塾大学付属各校、早稲田大学高等学院:約99%
早稲田実業:約97%
青山学院:約85%
明治大学付属明治:約95%
明治大学付属中野:約80%
学習院:約60%
学習院女子:約55%
日本大学付属各校:約25~80%

学校選びのポイント3男子校や女子校?それとも共学校?

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首都圏の私立中学校を男女別で見てみると、共学や男女別学(校舎などで男女を分ける)の学校が56%、男子校が14%、女子校が30%となっています。共学校と男子校・女子校、それぞれのメリット、デメリットをご紹介します。

<共学校>
○メリット
・公立小学校と環境が変わらないため、溶け込みやすい。
・異性からお互いに刺激を受けて、成長できる。

○デメリット
・男子、女子に特化した活動がやりにくい。

<男子校・女子校>
○メリット
・異性の目を気にせず、勉強や部活動に打ち込める。
・性別の特徴を生かした教育体制がある。

○デメリット
・異性の立場や考え方に接する機会が少ない。

共学人気や少子化などの影響で、学校全体では男子校・女子校から共学校への移行傾向が見られます。また、多様性の時代に男女別学にする意義も問われていますが、思春期に異性の目を気にせず趣味や部活動に没頭できる点は男女別学ならではの良さでしょう。

学校選びのポイント4大切なのは実際に親子で学校に足を運ぶこと

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行きたい学校に行けるチャンスを得られる「中学受験」だからこそ、学校選択は迷いますよね。「18歳のときに、お子さんにどのような選択をしてほしいか」を考えた上で学校選択をするときには、親子で学校に足を運ぶことが大切です。

ぜひ、学校説明会や文化祭、体育祭などに足を運んでみてください。実際に、その学校の生徒が輝いている姿を見てみてください。

学校を見た上で、偏差値ではA中学校が高いけど、我が家はB中学校が気に入った、という場合は、それで良いのです。偏差値は学校選択の一つの指標に過ぎません。親子の目で確かめて、学校選択をしてほしいと思います。

<参考>
『2023年度用首都圏版中学受験案内』(声の教育社)
『AERA with Kids 22春号』(朝日新聞出版)
『中学受験という選択』(おおたとしまさ著、日本経済新聞出版社)

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坪井 与枝

株式会社Edu.tor 代表取締役

リクルート新卒入社。法人営業、事業企画、海外事業を経験。2018年第一子誕生を機に「教育事業」を展開すべく独立。
中国上海、日本で経営を行う。2022年より株式会社Edu.torを設立。「偏差値ではない、世界の教育を視野に」をモットーに学校選びのノウハウを提供するプラットフォームを運営する。
日経womanアンバサダーを務め、教育に関するコラム記事を発信。

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