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広尾学園高等学校
出典:あばさー
広尾学園高等学校
(ひろおがくえんこうとうがっこう)

東京都 港区 / 広尾駅 /私立 / 共学

偏差値:69 - 70

口コミ: ★★★★☆

3.78

(64)

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医進・サイエンスコースインタビュー

~研究活動で医師・研究者に必要なマインドを育成する~

※2019年3月インタビュー時のものです。
先生が伝えたいこと
医進・サイエンスコース 総括長 木村先生

自分のやりたいことを
掘り下げていくと、どんどん横に広がっていきます

- 医進・サイエンスコース 総括長 木村先生
生物が得意な子は生物をやればいい
例えば、広尾学園にはIPS細胞作っている高校生もいます。勉強を楽しくやるためには得意なことを深く掘り下げてそこから広げていく、というのが教育方針です。計算苦手、化学苦手という生徒も、細胞培養しようとしたら、試薬の調整のためにモル濃度の計算はやります。そして論文を読みたくなれば英語をやりたくなります。このように、自分のやりたいことを掘り下げていくと、どんどん横に広がっていきます。IPS細胞から入った生物しか興味のなかった生徒は、英語も化学もやりたくなって他の授業を受ける姿勢も変わってきます。
美味しいハンバーガーを作ろうと思ったらまず、美味しいハンバーガーを食べよう
つまり、美味しいハンバーガーを作ろうと思ったらまず、美味しいハンバーガーを食べましょう、ということです。日本の数学の学び方は非常に積み上げ式です。仮にあなたが微分方程式を勉強したい、としましょう。微分・積分を知る前に、「極限」という概念を知る必要があります。他にも方程式とは?関数とは?という話を先にしなくてはならなくなります。先程のハンバーガーの例えだと、美味しいハンバーガーを作る前に、畑に連れて行かれて「美味しいレタスの作り方は…」と教えられるようなものです。そしてその次は牧場行って美味しいチーズの作り方…これでは、なかなかハンバーガーにたどりつきません。これでは生徒は、準備ばかりで何しているか分からなくなってしまいます。ですから、広尾学園ではまず美味しいハンバーガーを食べるところから始めるのです。
医進・サイエンスコース 総括長 木村先生
研究活動を活かして生徒の興味関心を日々の授業に落とし込む
中学1年生がIPS細胞から勉強を始めてもいいじゃないか、と考えています。IPS細胞を調べれば癌になりやすい細胞だと分かります。癌は、どうやらたくさん細胞分裂する病気らしい。すると、細胞分裂の仕組みが気になるでしょう。なんと、中学1年の単元に細胞分裂がある。細胞分裂するとき、DNAはどのように分裂するんだろう?と疑問を抱くとします。すると、セントラルドグマという項目が高校の生物にあります。このように最初の興味関心を網羅的に日々の授業に落とし込むということを意識的に取り組んでいます。
教材は生徒が興味を示すタイミングで提供する
それを生徒が興味を示しそうなタイミングで紹介をすることが大切です。教科書に限らずWebサイトでも専門書のコピーでもいいのです。私達教員は、生徒が知りたくなったタイミングですっと出せる準備を常に行っています。教材選びは初学者には難しく専門的な知識を持つ人間が必要で、私達教員はとりわけこれを重視しています。せっかく研究活動をやっていますし、生徒それぞれのモチベーションに合わせて展開したいのです。そこまでやれば生徒達は勉強したくなります。
医進・サイエンスコース 総括長 木村先生
自分のやりたいことができる環境があるのかを考える大学選び
ところで、理系のキャリアを進むためには、大学は必須といえるでしょう。設備だけではなく最先端の研究に関わるためにはやはり指導者が必要です。ですから、なぜ大学に行くのか、ということを生徒が自然な形で考えられるような仕組みを作っています。
 生徒たちは、実際大学を選ぶという段階になると、その大学の研究室ではどの先生がどんな研究をしていて、どんな論文を今まで書いているか、教員一人当たりに何人学生がついているかなども調べます。入試の偏差値が自分の学力よりも高くても、そこに行きたいから頑張りますし、逆に偏差値が低いからといって行かないというように、偏差値で大学を選ぶようにはなりません。自分のやりたいことができる環境がそこにあるのかを考えて決めているのです。
生徒たちへQ&A
医進・サイエンスコース 高校3年生 安田七海さん

いろんな元素と触れ合えるのが楽しい

- 医進・サイエンスコース 高校3年生 安田七海さん
Q
研究テーマを教えてください
A
光触媒(光を照射することにより触媒作用を示す物質)の研究をしています。私の研究は、光触媒を使って水を分解して水素を発生させるときに、金属イオンをドープさせて効率を上げる、というものです。私が読んだ論文に、粉末型の光触媒である酸化チタンに鉄イオンをドープさせると性能が良くなった、電極型のバナジン酸ビスマスという光触媒に、銀イオンをドープさせると性能が良くなった、という報告がありました。私は、あまり報告されていない研究なので、酸化タングステンに鉄イオンをドープするという研究をやっています。
Q
研究をしていて楽しいと感じることはなんですか?
A
高校から医進・サイエンスコースにはいって、このテーマを見つけられたのは高校1年の3月なので、それほど研究期間が長くありません。私は研究テーマを探すのに結構時間がかかってしまいました。先生ともたくさん相談しました。焦ることもあったのですが、自分なりの目処をつけてじっくり選びました。環境科学チームの中で光触媒をすることは決めていたので、そこでどうするかを考えていました。この研究の楽しさといえば、いろんな元素と触れ合える、これにつきますね。
医進・サイエンスコース 高校3年生 石田萌音さん

高校生科学教育大賞で最優秀賞を受賞

- 医進・サイエンスコース 高校3年生 石田萌音さん
Q
研究テーマを教えてください
A
シロイヌナズナ感受性変異体を用いたカドミウム耐性機構の解析、が研究テーマです。カドミウムに高耐性を持つ遺伝子はすでに同定されているのですが、その耐性を植物を実際に育てることで立証しようとしています。元々は電力中央研究所の方々がやっていた研究だったのですが、彼らが扱えなくなったとのことで、研究を受け継ぎました。カドミウムは鉄やマグネシウムと違って必須元素(生命維持にとって欠かせない元素)ではないのですが、興味を持ったのは、ちょっとアブなそうな物質を扱ってみたいということもありました。
Q
研究をしていて楽しいと感じることはなんですか?
A
そもそもこれは10年前に行われていた研究だったのです。その種を私がちゃんと発芽させることができて、10年前と同じ結果を得ることもできた。この再現性がちゃんと取れたところにとても惹かれました。
医進・サイエンスコース 高校2年生 川村綺佳さん

身近なものを何でも扱えるのが現象数理学

- 医進・サイエンスコース 高校2年生 川村綺佳さん
Q
研究テーマを教えてください
A
今は渋滞学をやっています。先輩の発表をみて数学を使って身近の問題にアプローチできるというのが面白いと思ってやろうと思いました。中学のときは「バスの団子運転現象」、つまりバスが前に追いついてしまうという現象を扱っていました。今は文化祭のために「歩行者相互作用」の論文を読んでいます。「歩行者相互作用」というのは、正面から人が歩いてきたときにぶつからないように避ける行動です。昨年秋頃には、生徒が一斉下校する際のシミュレーションをプログラムしました。先生に教えてもらったりしながらですが、なんとか自分でプログラムを作りました。今後は、野球場のような大きな会場から一斉に退場してくるような状況に応用できればいいなと思っています。
Q
研究をしていて楽しいと感じることはなんですか?
A
まず、身近なものを何でも扱えるというのが、現象数理学の面白さかなと思います。「歩行者相互作用」に出会ったのは、3月に学校に来てくださった東北大学の先生が同じような分野の研究をされていて、その先生が「これ面白いよ」と紹介してくださった英語の論文をとりあえず読んだのがきっかけです。読んでみたら面白かった、そんな理由がこの研究を始めるきっかけになりました。

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