帰国子女受け入れの伝統校、在校生の3割以上が国際生
啓明学園は1940年、「広い視野のもと、豊かな人間性と独自の見識を持ち、世界を心に入れた人を育てる」という教育理念の実践を目指し、帰国子の受け入れを目的として設立されました。戦火迫る中でも陸軍からの解散命令に屈することなく、キリスト教に基づく人格教育と、国際社会で活躍するための外国語教育に力を注いできたパイオニアです。現在も国際生(帰国生・外国籍の生徒)は3割を超え、出身国は約40カ国にのぼります。そのような環境ですから、毎日がインターナショナル。クラスには外国語が飛び交い、異なる文化で育ってきた生徒同士が互いの価値観を共有し、和気あいあいと過ごしています。また入学時に日本語が不得手な生徒も少なくありませんが、本校では専門の先生による日本語教育を始め、生徒一人ひとりの母国語・文化を大切にした習熟度別の個別カリキュラムがあります。中学入学時に日本語の話せなかった生徒であっても、高校3年時には全員が、日本国内の大学の一般受験が可能なレベルに到達しています。
思考力、発信力を身につける多彩なプログラム
本校の英語教育では「読む」「書く」「聞く」「話す」に加え、「考える」能力も重視しています。今後、ますますグローバル化する世界のなか、自分の考えを持ち、自ら問題を発見し解決する能力は不可欠となっていくでしょう。毎年2月に開催するスピーチコンテストは、全生徒が参加し、学内予選を経てオリンパスホール八王子の大ホールでの本選に臨みます。本校では発信力を自然に身に着けてもらうために、このようなコンテストやワークショップなど、表現・発表の機会を数多く設けています。
国際理解の機会は学内活動にとどまりません。本校は日本で3番目のラウンドスクエア加盟校です。ラウンドスクエアは次世代の国際的リーダーの育成を目的として設立された国際的な私立学校同盟。世界50カ国から約200校が加盟している大きなネットワークで、加盟校同士は国際会議に生徒を派遣するなどさまざま機会を通して自由な交流ができます。本校では必修科目「グローバルスタディーズ」や選択授業の「国際理解」のなかで加盟校の生徒と交流するほか、加盟校への交換留学も実施しています。
留学プログラムは半年間のセメスター留学、約1年間のアカデミックイヤー留学のほか、姉妹校・交流校での1、2週間の海外体験学習もあります。またカンボジア裁縫プロジェクトといったボランティア活動も活発です。任意参加のさまざまな取り組みを用意していますから、ぜひ自分に合った活動に積極的に参加してほしいですね。
みんな違って当たり前、だから優しさや思いやりが育まれる
クラスの3割が国際生となれば、誰も特別扱いはされません。みんな違って、当たり前。だからこそお互いのバックボーンや文化を理解しようと歩み寄り、共感力や思いやりの心が育まれるのだと思います。また、緑豊かな約3万坪の広大なキャンパスには、幼稚園や初等学級の生徒たちの明るく元気な笑い声も響きます。そんなのびのびと開放的なムードのなかで育まれてきた啓明学園の、多様性を尊重する伝統に、時代がやっと追いついてきた感覚すらあります。本年度より理事長に就任した私は、この啓明らしさをさらに磨き上げつつ、43年間企業人として国内外で働いてきた経験を生かして、実践的なキャリア教育にもより力を注いでいくつもりです。数多くある国際理解の機会を通して、主体的に考え、学び、世界の平和を築くことのできる、新しい時代の「Peacemaker」になってくれることを祈りながら。